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「対物業務から対人業務へ」多岐に渡る薬剤師への問いかけ、どう対応すべき?

2016年1月25日

厚生労働省から、昨年の10月23日に「患者のための薬局ビジョン~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~ 」が発表されました。これにより、かかりつけ薬局及びかかりつけ薬剤師のイメージ像は色濃いものになりました。
このビジョンのなかでも注目したいのが、かかりつけ薬剤師としての役割についてです。コンセプトは「対物業務から対人業務へ」となっています。
これが意味するものは、「今後は患者さんへの対応に注力すべき」ということにプラスして、何か深い意味があると考えられます。そこで、今後薬剤師が意識したい、患者さんへの対応・接遇について考えてみました。

■「対物業務から対人業務へ」が意味するものは?

「患者のための薬局ビジョン」において、患者さん本位の医薬分業を実現するために、3つの柱が立てられています。それは「1.立地から機能へ」、「2.対物業務から対人業務へ」、「3.バラバラから一つへ」の3つです。とくに2については、薬剤師の日々の仕事の仕方に直接関わってくることです。

患者さんや地域住民の人たちに、「かかりつけ薬局」や「かかりつけ薬剤師」として選んでもらうためには、薬剤師は薬の専門家としてはもちろん、コミュニケーション能力を向上させることで、調剤などの対物中心業務から、患者さん及び、地域住民の人たちへの関わりの度合いが高い対人業務へとシフトを図るべきことが示唆されています。

患者さんにとってのメリットは、自分の過去の服薬履歴を充分に知っている薬剤師が相談に乗ってくれることや、薬の理解が深まることで、飲み忘れや飲み残しが防げることなどがあります。

■セルフメディケーションを背景とした「健康サポート機能」も

セルフメディケーションを背景とした地域包括ケアが求められるいま、薬剤師はこのような「かかりつけ薬剤師」としての要請だけでなく、さらに “地域の健康サポート機能”を果たす必要があります。つまり、地域の医師などの多職種・他機関との連携を通じて、地域包括ケアの一端を担う専門家であるべきなのです。

薬剤師のもとへは、あらゆる質問が寄せられます。それは、従来の薬に関することだけでなく、「この場合、どの医療機関、もしくは科目を受診すればいいのか」ということから、「どうすれば健康保険証を更新できるのか」といったことまで、医療・健康に関わる問いには、すべて答える義務が出てきます。

多職種・他機関との連携とは、まず、患者さんをふさわしいところに引き継ぐことですが、ただ引き継ぐだけではかかりつけ薬剤師としては不十分といえそうです。たとえば、医療機関を紹介した後も、患者さんを見守り、サポートする必要があると考えられます。

■カウンセリング力向上の必要性

一方で、従来からある薬剤師のコミュニケーション能力の向上課題も、変わらず存在しています。薬歴にもとづいた服薬指導はもちろんのこと、よくいわれる患者さんとのコミュニケーションギャップを埋めることも重要と考えられます。

たとえば、薬を指定通りに飲まなかったことを告白してきた患者さんに対して、「なぜ飲まなかったのですか?」と問い詰めるような対応は、“かかりつけ薬剤師”としては失格となってしまいます。
これからは、カウンセリング要素、つまり、心理面の配慮も重視する必要があるのです。しかし、「コミュニケーションとなると、どうも苦手」という薬剤師が少なくないのも事実ではないでしょうか。

■分からない質問をされたとき、患者さんからの信頼を守る方法

たとえばこんなシーンで、どのような対応をすべきでしょうか。
患者さんから、自分が専門とする「薬」についての質問で、調べなければ答えられない事柄が出てきた場合です。自分でもすぐに答えられないことはショックであり、さらに患者さんに対しても、面目上、なんとなく「分からない」とは言えないという気持ちになるのではないでしょうか。

しかし、「答えられない=信頼を失う」というわけではありません。これからの患者さんとのコミュニケーションで大事なのは、専門知識とカウンセリングの技術とのバランスだといわれています。

答えられない質問については、正直に「申し訳ありませんが、いますぐにはお答えできません」と言い、「後で調べてご連絡しますのでお待ちいただけますか?」「次回までに調べておきますね」とごまかさずに伝えれば、患者さんからの信頼を失うことはないのです。
もちろん、後日、患者さんに対して正しく回答をすれば、患者さんの疑問が解消されます。しかし、それ以上に、「この薬剤師さんは、自分のために難しいことをわざわざ調べてくれたんだ」と思ってもらうことができます。そして、信頼は守られ、いずれ「かかりつけ薬剤師」として認めてもらえる日も近くなるはずです。

大事なのは、患者さんへの「思いやり」であり、信頼関係を生み出すものです。
医療機関の場所を尋ねられたときも、ただ住所を伝えるだけでなく、道順まで案内するなど、患者さんの立場になってサポートすることが求められます。これこそ、国と社会が求めるこれからの薬剤師像といえるのではないでしょうか。


知っトク!おトク!豆知識

健康・医療分野におけるITC化 国民がメリットを感じられる今後の方向性とは
現在、医療情報のITC化は主官庁である厚労省と総務省で進められています。病院や薬局、そして介護も含む地域医療連携の全体をネットワーク化し、個人の健康・医療・介護分野の情報をパーソナルヘルスレコードとして本人が一元管理・活用できるようにします。ITC化された情報をスマホアプリで見ることができれば、利用者はどんな診断や投薬をされているかがわかります。また、本人自らが情報を持ち運ぶことにより、引っ越しなど地域を超えての活用や、複数診療科での活用、介護分野の多職種連携チームでの活用が可能となります。

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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