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一般用医薬品のネット販売は「説明」が課題! 改めて見直すべき店頭販売の姿

2016年2月25日

2014年6月12日から解禁になった一般用医薬品のインターネット販売。厚生労働省により実態調査がおこなわれ、利用状況が見えてきました。ネットで手に入れた薬についている説明が「理解できない」という人が14.8%にも上るなど、薬剤師にとって非常に気になる内容を含んでいます。
このことから、改めて薬局やドラッグストアなどにおける、店頭での一般用医薬品販売の重要性が見えてきます。今後、ネット販売がますます進展していくなかで、薬剤師はどのような役割を担うべきでしょうか。

■「一般用医薬品のネット購入者は3.8%」厚生労働省調査

厚生労働省研究班「ネット販売等における一般用医薬品の購入販売実態に係る調査研究」の調査では、全国20歳以上の男女5000人のうち(回収率40.4%)、ネット販売を利用して一般用医薬品を購入している人は全体の3.8%に留まりました。
男性は30歳代、女性は40歳代がもっとも多く、購入した医薬品の種類で多かったのは「育毛剤」がトップで12.8%、ついで「ビタミン剤」が9.0%という結果になりました。
一方、「かぜ薬」や「目薬」、「痛み止め」、「咳止め」などを購入した人は、1%に満たない結果でした。このことから、現在、ネット販売は、まだそれほど多くは活用されていないことが分かります。

■ネット販売のルールにある薬剤師の説明

一般用医薬品のネット販売が解禁になったのは、2014年6月12日から施行された「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律」のなかで、医薬品の販売業等に関する規制の見直しが図られたことにありました。スイッチ直後品目や劇薬などの要指導医薬品を除く一般用医薬品は、第1類、第2類、第3類いずれも適切なルールのもと、ネット販売可能になりました。

第1類医薬品(要指導医薬品以外)については、これまで通り薬剤師が販売しますが、その際、「年齢や他の医薬品の使用状況等について薬剤師が確認」することや、「適正に使用されると認められる場合を除き、薬剤師が情報提供」する必要性が規定されています。

また、ネット販売のルールとして、薬局・薬店の許可を取得した有形の店舗がおこなう必要があることや、販売は薬剤師や登録販売者などの専門家がおこない、使用者の状態などの確認や個別の情報提供、提供した情報を理解したかどうかの確認・連絡などを経ての商品の発送などが義務づけられています。

■ネットで手に入れた薬の説明は“理解できない”が14.8%

ネット販売は、薬剤師の新しい仕事を生み出したともいえます。しかし、先の厚労省の研究班による調査では、ネット販売における薬剤師や登録販売者による「説明」について、気になる結果が出ています。薬の飲み方や副作用の有無などの説明の理解度については、店舗で購入したときに「理解できない」と回答した人は3.0%に留まりましたが、ネットで購入したときは14.8%と多い結果になったのです。

このような結果が出た理由としては、ネット販売で薬を入手した人たちが「メールでの説明に気づいていない」、「気づいていても読まない」ことにあるのではないかと考えられています。

つまり、ネット販売でいくら薬剤師や登録販売者が文面でしっかりと説明したとしても、説明したつもりになっている場合があるということです。対面での説明でも、理解してもらえないことはありますが、それでも口頭と文面ではその分かりやすさに大きな違いがあるものです。このことは、店頭での口頭による「説明」の重要性に、改めて気づかせてくれます。

■欧米の“インターネット薬局”における薬剤師―患者間のコミュニケーション

しかしながら、ネット販売にもメリットがあるのは事実です。日本でのネット販売解禁の背景にあったのは、規制緩和によるところが大きかったものの、忙しい現代人の生活において、時間の制約がなく、他人の目を気にすることもなく薬が購入できることは、消費者にとっては大きなメリットです。

このようなネット販売のメリットを、欧米では早くから活用しており、一般用医薬品だけでなく、処方箋にもとづく医療用医薬品の販売も「インターネット薬局」というものを介しておこなわれています。世界初のインターネット薬局は1999年の米国ソーマ社による「ソーマ・ドットコム」で、処方薬やそれ以外の医薬品、およびヘルスケア商品から化粧品まで幅広く販売していたといいます。
それ以降、米国をはじめとして、英国やドイツでもインターネット薬局が開局し、発達しています。

ここで、患者さんがインターネット薬局で処方薬を購入する流れを、ドイツの例でご紹介します。
医療機関から処方箋を受け取った患者さんは、インターネット上から処方箋に書かれている処方薬を注文し、処方箋の原本をインターネット薬局へ郵送します。処方箋を受け取ったインターネット薬局側は、患者さんからの注文情報や処方箋の確認をおこない、患者さんからの相談・質問があればそれに答え、処方薬を発送することになります。
この確認については厳重におこなわれ、不完全な項目があった場合は、患者さんもしくは医師に問い合わせをすることになっています。

また、患者さんと個別にコミュニケーションを取る仕組みもあります。注文後に無料電話相談として、薬剤師などの資格保有者が答えるサービスです。このような相談の手順を踏むこと自体、発送前に必ずおこなわなければならないことになっています。

このように処方箋薬にまでネット販売が拡大している欧米では、そのネット販売手法に長けており、フローも確立しています。

■改めて見直すべき店頭販売の姿

一般用医薬品のネット販売が解禁されてからまだ2年も経たない日本。今後のネット販売における薬剤師と購入者とのコミュニケーションは、ますます充実させていく必要があると考えられます。
また、それと同時に、従来の店頭における一般用医薬品販売において、ネット販売との差別化の意味も込めて、見直す必要性もあると考えられます。

店頭販売には、やはりネット販売ではできない、対面における誤解の少なさや、お客さんの理解度の確認のしやすさなど、多くのメリットがあります。また、ネット上でのやりとりではむずかしい、血の通ったコミュニケーションが実現できるのは、店頭販売の大きな強みといえます。

かかりつけ薬剤師への転化が求められるいま、薬剤師はネット販売の進歩に尽力しつつも、店頭での販売に改めて目を向け、力を注ぐ必要がありそうです。


知っトク!おトク!豆知識

健康・医療分野におけるITC化 国民がメリットを感じられる今後の方向性とは
現在、医療情報のITC化は主官庁である厚労省と総務省で進められています。病院や薬局、そして介護も含む地域医療連携の全体をネットワーク化し、個人の健康・医療・介護分野の情報をパーソナルヘルスレコードとして本人が一元管理・活用できるようにします。ITC化された情報をスマホアプリで見ることができれば、利用者はどんな診断や投薬をされているかがわかります。また、本人自らが情報を持ち運ぶことにより、引っ越しなど地域を超えての活用や、複数診療科での活用、介護分野の多職種連携チームでの活用が可能となります。

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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