薬剤師・薬学生の情報サイト[ファーマシストマガジン]

編集部からの薬剤師お仕事カフェ

「健康サポート薬局」への再編にともなう薬局・薬剤師の課題 前編

2016年3月25日

新しい薬局の形「健康サポート薬局」。今後、この理想の薬局に近づくよう進めていくなか、調剤薬局と薬剤師は、どのような変化を求められているのでしょうか。
この「健康サポート薬局」について、定義が生まれた背景から理解し、新しい役割を担う薬局や薬剤師として、今後どのように対応していくべきかを考えていく必要がありそうです。今回は、いま目の前にある課題について見ていきます。

■「健康サポート薬局」とは

「健康サポート薬局」は、2015年6月から「健康情報拠点薬局(仮称)の在り方に関する検討会」によって議論されていた新しい薬局が、2015年9月24日に正式名称として決定づけられたものです。健康サポート機能を持つこの薬局には、かかりつけ薬剤師・薬局としての基本的な機能を備える必要があることが定義されています。薬局内には必ずかかりつけ薬剤師が存在し、地域の人々の健康全般からサポートします。

かかりつけ薬剤師と薬局が持つ基本的機能としては、服薬情報などの一元的な把握、そして、それにもとづく薬学的管理と指導、および24時間対応と在宅対応、地域医療におけるかかりつけ医との連携や関係強化と定義されています。

【かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能】
1.服薬情報の一元的な管理とそれにもとづく薬学的管理・指導
2.24時間対応、在宅対応
3.かかりつけ医をはじめとした医療機関等との連携強化

■「面対応」が要件のひとつ

このような、健康サポート薬局を目指す際に、気を付けなければならないのは、その求められる要件のなかに、「面対応ができる」ことがあがっていることです。
厚生労働省によるレポート「健康サポート薬局のあり方について」では、健康サポート機能を有する薬局の機能として、具体的に、次の7つをあげています。

1.地域における連携体制の構築
2.薬剤師の資質確保
3.薬局の設備
4.薬局における表示
5.要指導医薬品等の取り扱い
6.開局時間
7.健康相談・健康サポート

なかでも、7.健康相談・健康サポートについては、「率先して地域住民の健康サポートを積極的かつ具体的に実施」することが求められています。
このように、地域包括ケアシステムの構築を考えた取り組みは「医薬分業の実現」という、本来、健康サポート薬局が生まれた背景からしても、非常に重要になっています。
そして、「門前薬局」から「かかりつけ薬局」、つまり「健康サポート薬局」へと移行することが勧められています。これまで門前にかまえていた薬局は、いよいよ厳しい追い風になり、「面対応薬局」へと再編していく必要があります。

■門前薬局から「面対応」への移行の課題と対応策

しかしながら、門前薬局が「面対応」へとスムーズに移行できるといえば、そうとは限りません。現実的には多くの課題があるといわれています。みずほ銀行 産業調査部による資料「調剤薬局の生き残り戦略 ~健康サポート薬局としての役割~(2015年12月7日)」では、これまで門前にいた調剤薬局では、次の3つの課題があると指摘されています。

・調剤業務で収益を生み出すまでに長時間を要する
・医薬品の在庫負担が大きい
・出店立地の確保

そもそも面展開を考えるのであれば、確実に認知度を高める必要があります。そして、“選ばれる”かかりつけ薬局になることが求められるのです。しかし、調剤薬局そのものの認知度は世間ではまだまだ低いため、たとえ大手調剤チェーンでも、安定した処方箋数をキープするには、4~5年という歳月を要するといわれています。
また、門前薬局では、その隣接した医療機関の科目に準じた医薬品を主に準備することでまかなえていましたが、かかりつけ薬局はそれでは足りません。取り扱う処方箋の種類は、これまでよりも幅広いものになるため、その在庫負担が心配になります。
また、立地はできるだけ患者の生活圏内である必要があるものの、すでにコンビニエンスストア、ドラッグストア、スーパーマーケットなどが、患者さんの生活圏には多く存在しています。このような競争が厳しい状況のなかにいかにして居場所を確保するかも課題となっています。

このような面対応への対応策としては、コンビニエンスストア、ドラッグストア、スーパーマーケットなどとの連携や経営統合を考え、戦略的に動いていくことが欠かせないといわれています。

■面対応薬局の代表例

このような面対応薬局を、すでに積極的に展開しているのが日本調剤です。2007年から面対応薬局を開設していますが、やはり、収益性が改善したのは、開設から4~5年後だといいます。現在、在宅調剤がおこなわれている店舗もあり、すでに待ち時間の短縮などの課題解決をおこない、患者さんから高評価を受けられるようになったといいます。

このように、調剤薬局は今後、地域の人々に活用してもらえる「面対応薬局」として、健康サポート機能を発揮していかなければならないという課題に直面しています。利便性に優れた好立地を目指し、うまくコンビニやドラッグストアと統合するなどの、戦略性が求められます。

後編では、「健康サポート薬局」担うべき重要な機能「地域包括ケア」の課題や、今後具体的に求められる薬剤師のスキルについて探っていきます。


知っトク!おトク!豆知識

健康・医療分野におけるITC化 国民がメリットを感じられる今後の方向性とは
現在、医療情報のITC化は主官庁である厚労省と総務省で進められています。病院や薬局、そして介護も含む地域医療連携の全体をネットワーク化し、個人の健康・医療・介護分野の情報をパーソナルヘルスレコードとして本人が一元管理・活用できるようにします。ITC化された情報をスマホアプリで見ることができれば、利用者はどんな診断や投薬をされているかがわかります。また、本人自らが情報を持ち運ぶことにより、引っ越しなど地域を超えての活用や、複数診療科での活用、介護分野の多職種連携チームでの活用が可能となります。

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

薬剤師インタビュー

アクセスランキング

1

[薬事医療業界ニュース]

建物外への出入口が必要‐「調剤所と同様」判断で見解
2

[特集コラム]

施設基準届け出の憂鬱 ~申請から2か月後に届いた受理通知~ ららくま薬局 熊谷信さん
3

[薬剤師インタビュー]

地域のみなさんから広く信頼してもらえる薬剤師になりたい 中央薬局 下村英紀さん

最新ニュース

一覧を見る

produced byアイデムエキスパート

pmdaメディナビ

バックナンバー

pmdaメディナビ