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「健康サポート薬局」への再編にともなう薬局・薬剤師の課題 後編

2016年4月25日

門前から面対応への移行が要件となる「健康サポート薬局」。かかりつけ薬剤師のいる、かかりつけ薬局で、24時間・在宅対応、医師や医療機関との連携など、新たな薬局の姿がそこに定義されています。前編では、その面対応への移行の課題をご紹介しました。後編では、地域包括ケアの課題や、具体的に健康サポート薬局で求められる薬剤師のスキルについて探っていきます。

■「地域包括ケアシステム」で大きな期待がかかる「かかりつけ薬剤師」

薬局は、今後門前から「面対応」へ、つまり地域へと移行していく必要があります。そこで目指される「健康サポート薬局」が起こった背景は、そもそも「地域包括ケアシステム」の実現へ向けてのものでした。

今一度、「地域包括ケア」に立ち返ってみる必要がありそうです。地域包括ケアシステムの定義は「2025年をめどに、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるようにするための地域の包括的な支援・サービス提供体制」(厚生労働省)です。介護、医療、予防の専門的なサービスと、その前提としての住まいと生活支援・福祉サービスが相互に関係し、連携しながら在宅の生活を支えている。それが目指されるところです。

このようななか、かかりつけ医をはじめとした多職種連携による地域住民の健康サポートを実施するにあたり、薬剤師は「かかりつけ薬剤師」として大きな期待がかけられています。
また、医療から介護へとスムーズに移行するための橋渡しとしての薬局であることも求められています。とくに橋渡し役としての薬局は、薬剤師が在宅患者に対して能動的にアプローチしていく必要があるのです。

■「健康サポート薬局」で求められる薬剤師のスキル

健康サポート薬局で、かかりつけ薬剤師として求められるスキルはどのようなものがあるのでしょうか。厚生労働省による「健康サポート薬局のあり方について」では、「薬剤師の資質確保」というトピックがあげられています。
ここでいわれている資質とは、薬剤師が一般用医薬品や健康食品等の適切な使用に関する助言や健康の維持・増進に関する相談応需、適切な専門職種や関係機関への紹介等を適切に実施できることです。
つまり、これまでの調剤業務に加えて、専門知識を活かして地域住民を適切な方向へ誘導する提案力と接遇スキルが求められるといえます。それには、医薬品についての専門知識だけでなく、地域医療システムや公共施設などの公共の知識も広げていく必要があります。

このような新しいスキルが求められる薬剤師は、健康サポート薬局で常駐するためには、研修を受けることが定められています。
また、かかりつけ医や医療機関との連携強化もあり、より積極的にコミュニケーションをとっていく必要性が出てくるでしょう。また、すでに地域密着型の薬局らしい取り組みとして、町内会や商店街と積極的に関わり、運動会への参加や老人会における勉強会の開催などをおこなっている薬局もあります。

■薬剤師への一定の研修

健康サポート機能を持つ薬局では、一定の研修を終了した薬剤師の常駐がひとつの要件となっています。この研修では、一般用医薬品や健康食品などの安全かつ適切な使用に関する助言ができることが求められています。

■調剤薬局が生き残るには?

調剤薬局が、今後「健康サポート薬局」としての新たな役割を担い、生き残っていくためには、「面対応」「地域包括ケア」「かかりつけ薬剤師の接遇力」がキーワードになってくるといえそうです。
また、今後薬局が面対応の課題を乗り越えていくための方法として、みずほ銀行 産業調査部による資料「調剤薬局の生き残り戦略 ~健康サポート薬局としての役割~(2015年12月7日)」では、ドラッグストアなどの物販ノウハウを持った異業種との提携が必要になると指摘されています。今後、これまでの薬局機能とともに、柔軟に面対応に取り組む姿勢こそ、重要になってくるといえそうです。
また、人材育成によりスキルアップした薬剤師が、患者のさまざまなニーズを把握して能動的な提案をしていくことも調剤薬局が今後生き残っていくためには重要です。

薬事日報社がおこなった全国保険薬局調査では、「患者がかかる全ての医療機関を把握し、服薬情報を適切に記録」、「時間外でもかかりつけ薬剤師が患者の相談等に対応する体制の整備」の2点については、約53%の薬局が「対応できる」と答えています。一方、「対応できる」と答えた薬局が36%に留まったのは、「地域包括ケア支援センター、訪問看護ステーションなど多職種連携」でした。やはり横の連携の課題は大きく、まだまだチームとしての薬剤師ははじまったばかりといえそうです。

今後は、「健康サポート薬局」の面対応と地域包括ケアを中心に、いかに“かかりつけ”になっていけるかを念頭に進化していくことが求められるでしょう。


知っトク!おトク!豆知識

健康・医療分野におけるITC化 国民がメリットを感じられる今後の方向性とは
現在、医療情報のITC化は主官庁である厚労省と総務省で進められています。病院や薬局、そして介護も含む地域医療連携の全体をネットワーク化し、個人の健康・医療・介護分野の情報をパーソナルヘルスレコードとして本人が一元管理・活用できるようにします。ITC化された情報をスマホアプリで見ることができれば、利用者はどんな診断や投薬をされているかがわかります。また、本人自らが情報を持ち運ぶことにより、引っ越しなど地域を超えての活用や、複数診療科での活用、介護分野の多職種連携チームでの活用が可能となります。

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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