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人への評価は初!調剤報酬に新設「かかりつけ薬剤師指導料」その期待像は? 後編

2016年6月24日

前編では、2016年診療報酬改定に新設された「かかりつけ薬剤師指導料」の概要と、算定要件についてみてきました。新卒の新薬剤師の方々にとっては、いま、国から求められているかかりつけ薬剤師像をしっかりと理解し、自分が目指すべき方向性をしっかりと定めたいものです。

しかし、今回設定された「かかりつけ薬剤師指導料」の算定要件は、なかなか満たすのがきびしいのが現実です。そこで、まずはその設定の背景を知り、何が期待されているのかを理解したうえで、必要となる業務と体制に取り組んでいくことが大切ではないでしょうか。

後編では、新しいかかりつけ薬剤師には何が期待されているのか、の意図を知り、具体的に、どのようなかかりつけ薬剤師を目指すべきかを考えてみます。

■新しいかかりつけ薬剤師には何が期待されているのか?

かかりつけ薬剤師やかかりつけ薬局が推進されている背景には、「医薬分業」があります。医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で業務を分担し、医療の質の向上を図るというものです。

薬剤師が患者さんの状態や服薬状況を継続的に把握して、処方内容を確認することは、重複投薬、副作用の防止につながるため、薬物療法の安全性・有効性が見込めます。また、このような薬剤師の活動は、近年問題になっている「残薬」についても解消が見込めます。そして、後発医薬品の使用推進、在宅への取り組みなどを通じて、医療保険財政の効率化にも貢献できます。

この医薬分業を背景とすると、かかりつけ薬剤師に求められることは、「1.医師との連携」、および、患者さんへの丁寧な「2.服薬指導や徹底した服薬管理」、そして無駄な薬剤を減らし、適正使用につなげる「3.残薬解消」が、見据えられていると考えられます。

■期待に応えるための薬剤師の具体的な活動

では、このかかりつけ薬剤師に対する期待は、具体的にどうすれば実現できるのでしょうか。

「医師との連携」については、すでに、薬局薬剤師は次のようなことに取り組んでいます。たとえば、医師や研修医、医学生などの勉強会に参加することです。これによって、医師の処方意図や臨床の状況を理解することができるのが大きなメリットです。反対に、医師側が薬局に研修に来るということもおこなわれています。
そのほか、医師と薬剤師が患者さんの情報を交換したり、これまでおこなわれた疑義照会やインシデント内容の共有を図ったりと、積極的にコミュニケーションが取られています。

「患者さんへの服薬指導や管理を徹底すること」については、次のことがヒントになります。
2013年度厚生労働省の調査によれば、「残薬発生の理由」でもっとも多かったのが「飲み忘れ」であり、67.6%にも上りました。その大きな原因は、「処方薬の多さ」にあるといわれています。しかし、患者さんが自分ひとりでは薬の管理ができないというのも問題として浮かび上がってきます。そこで、自宅を訪問し、薬剤師がよく服薬状況を実際に自分の目で見て、患者さんと対話することが、いま、もっとも求められることだと考えられます。

■どのようなかかりつけ薬剤師を目指すべきか

このように、かかりつけ薬剤師とかかりつけ薬局の推進の背景を理解したうえで、改めて、今回の診療報酬改定で追加された「かかりつけ薬剤師指導料」から、今後求められるかかりつけ薬剤師像を探ってみましょう。

参考になるのは、日本薬剤師会が2015年9月27日に発表した、『地域の住民・患者から信頼される「かかりつけ薬剤師」「かかりつけ薬局」の役割について』のなかで掲げられている、「かかりつけ薬剤師に求められる資質」6つです。

かかりつけ薬剤師として仕事をするためには、大前提として、まずは患者さんに選んでもらう必要性があります。そのためには、次のような資質が求められるといいます。

1.地域の住民から、医薬品等に関する相談を親身になって受け、ニーズを把握することができる
2.常に自己研鑚に励み、最新の医療および医薬品等の情報に精通している
3.地域医療連携に不可欠な地域の社会資源等に関する情報を、十分把握している
4.薬事・保健衛生等に関する地域の社会活動、行政活動等に積極的に参加し、地域包括ケアシステムの一員として活動できる
5.医薬品等の適正使用について的確な情報提供や指導をおこなうことができ、また、適切にかかりつけ医等へ受診勧奨等をおこなうことができる
6.医薬品の一元的かつ継続的な薬学管理指導をおこない、処方医に対して薬学的知見にもとづき疑義照会をおこなうなど、かかりつけ医と連携して、患者に安全で安心な薬物治療を提供することができる

これらの条件をクリアするためには、患者さんの状況を積極的にヒアリングできる「傾聴スキル」を持つことが大前提といえます。また、患者さんに選ばれるためには、患者さんへの対応はもちろん、医師と適切に連携できることも、重要なポイントになります。

かかりつけ薬剤師、および、かかりつけ薬局への転換が急がれている背景をしっかりと認識して、患者さんに選ばれる存在になること。そのために、医師との連携を強化すること。そして、残薬解消に貢献すること。この3点を意識することで、より、新しいかかりつけ薬剤師に近づくことができるといえそうです。


知っトク!おトク!豆知識

健康・医療分野におけるITC化 国民がメリットを感じられる今後の方向性とは
現在、医療情報のITC化は主官庁である厚労省と総務省で進められています。病院や薬局、そして介護も含む地域医療連携の全体をネットワーク化し、個人の健康・医療・介護分野の情報をパーソナルヘルスレコードとして本人が一元管理・活用できるようにします。ITC化された情報をスマホアプリで見ることができれば、利用者はどんな診断や投薬をされているかがわかります。また、本人自らが情報を持ち運ぶことにより、引っ越しなど地域を超えての活用や、複数診療科での活用、介護分野の多職種連携チームでの活用が可能となります。

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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