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かかりつけ薬剤師と地域包括ケアシステム 多職種連携の課題 前編

2016年7月25日

いま、薬局や薬剤師をとりまくなかで重要なキーワードである「かかりつけ薬剤師」。2016年度診療報酬改定では、「かかりつけ薬剤師指導料」が新設されました。そして5月には、地域社会への参画についての内容が具体化されました。
地域包括ケアシステムの構築をめざす流れがあるなか、今後、かかりつけ薬剤師として重要になってくるのが、「地域活動への参画」と「多職種連携」。今回は、このふたつの視点から、いまある課題と解決の方向性を探っていきます。

■2016年度診療報酬改定における「地域社会への参画」の具体的中身とは?

2016年度診療報酬改定では、かかりつけ薬剤師の役割に対して、ある一定の条件のもと、報酬を手厚くすることが定められました。
この診療報酬改定に対し、2016年5月19日に公表された「疑義解釈その3」では、新設された「かかりつけ薬剤師指導料」の要件のうち、「医療に係る地域活動の取組に参画していること」について、次のような具体的な内容が示されました。

・地域包括ケアシステムの構築に向けた、地域住民を含む、地域における総合的なチーム医療・介護の活動であること。
・地域において人のつながりがあり、顔の見える関係が築けるような活動であること。

●地域における医療・介護等に関する研修会等へ主体的・継続的に参加する事例
①地域ケア会議など、地域で多職種が連携し、定期的に継続しておこなわれている医療・介護に関する会議への主体的・継続的な参加
②地域の行政機関や医療・介護関係団体等が主催する住民への研修会等への主体的・継続的な参加

「地域包括ケアシステム」の構築が目指されるいま、薬剤師が自ら地域社会へと入っていき、多職種連携を積極的に進める必要があることは、これまでも十分、認識してきました。しかしそれが急務であることが、今回の具体的内容からわかります。

■「地域ケア会議」の定義と役割を知ろう

地域社会の活動への参画で欠かせないのが、「地域ケア会議」への参加です。
「地域ケア会議」は、厚生労働省が進めている「地域包括ケアシステム」を実現するための手法のひとつです。医療・介護などの多職種がそろって高齢者の個別課題の解決などを通して支援を充実させ、それを支える社会的基盤の整備を同時に進めるための会議です。
主な構成員は、自治体職員、包括職員、ケアマネジャー、介護事業者、民生委員、PT、OT、ST、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、歯科衛生士です。
まずは地域包括支援センターにて、高齢者の個別ケースの課題について話し合い、地域課題を明らかにします。そのうえで、日常生活圏域ごとに「地域ケア会議」を開催し、圏域内の課題を整理します。そして、さらに上位の市町村や地域全体で「地域ケア会議」を開催し、市町村レベルでの課題解決策を協議します。

「地域ケア会議」の機能は、次の5つがあります。
・個別課題解決機能
・ネットワーク構築機能
・地域課題発見機能
・地域づくり・資源開発機能
・政策形成機能

ポイントは、個別ケースの検討から、地域課題へと整理し、政策形成にまでの道筋が整っていることです。そして、これらの5つがすべて機能することによって、地域包括ケアシステムの実現、すなわち「地域住民の安心・安全とQOL向上」が実現します。

■地域包括ケアシステムにおける薬剤師の位置づけを考える

この地域ケア会議への参加をはじめとした、地域包括ケアシステムの構築を進めるに当たり、薬剤師はどのような位置で活躍すべきでしょうか。

たとえば、東京都杉並区の地域ケア会議の事例で、その役割を知ることができます。
2015年6月と7月におこなわれた杉並区の第1回地域ケア会議では、医師、歯科医師、薬剤師、ケアマネジャー、地域包括支援センター(ケア24)の職員らが参加しました。直接、医療関係者が意見交換をおこなったのは初めてのことだったといいます。このなかで、「薬剤師は、医師とケアマネジャーの仲立ちができる可能性が見いだされた」という意見が出ています。

また、地域ケア会議での個別ケースの話し合いでは、たびたび薬についての課題が上がります。このとき、薬剤師の「薬の専門家」としての参加は欠かせないものといえます。

もともと、地域医療の多職種連携において期待される、薬剤師の具体的な仕事としては、やはり在宅への配薬と残薬の確認があります。そして、地域の薬局、かかりつけ薬剤師としての、地域住民たちが最初にアクセスする「健康支援」機関としての役割も欠かせません。

これらのことから、薬剤師は、薬の専門家として活躍することはもちろん、地域医療において、地域住民や高齢者と、医療をつなぐ存在としての立ち位置を見出すことができそうです。

いずれにしても、薬剤師は「地域ケア会議」への参画をはじめとして、地域包括ケアシステムの構築に向けた活動に積極的に参加していくことが求められています。

そして、もうひとつの大きな課題が「多職種連携」です。多職種連携は、従来の在宅医療におけるシーンだけでなく、地域ケア会議においても重要になってきます。後編で詳しくそのコツを見ていきます。


知っトク!おトク!豆知識

健康・医療分野におけるITC化 国民がメリットを感じられる今後の方向性とは
現在、医療情報のITC化は主官庁である厚労省と総務省で進められています。病院や薬局、そして介護も含む地域医療連携の全体をネットワーク化し、個人の健康・医療・介護分野の情報をパーソナルヘルスレコードとして本人が一元管理・活用できるようにします。ITC化された情報をスマホアプリで見ることができれば、利用者はどんな診断や投薬をされているかがわかります。また、本人自らが情報を持ち運ぶことにより、引っ越しなど地域を超えての活用や、複数診療科での活用、介護分野の多職種連携チームでの活用が可能となります。

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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