薬剤師・薬学生の情報サイト[ファーマシストマガジン]

編集部からの薬剤師お仕事カフェ

かかりつけ薬剤師と地域包括ケアシステム 多職種連携の課題 後編

2016年8月25日

2016年診療報酬改定で「かかりつけ薬剤師指導料」が新設されましたが、その要件には「医療に係る地域活動の取組に参画していること」があります。「地域ケア会議」などに積極的に参加し、医師や介護関連の職種の人たちとの「多職種連携」を積極的におこなうことが、その具体的内容として示されました。

かかりつけ薬剤師として今後、貢献していくために欠かせないこの地域社会への参画は、まだまだ課題が大きいものです。そこで、後編では「多職種連携」について、その課題と解決の方向性を探っていきます。

■地域包括ケアシステムを実現するには「多職種連携」が必要

地域包括ケアシステムが推進されるなか、ますます重要になる「多職種連携」。これまで多職種連携といえば、主に在宅訪問のシーンで取り上げられてきましたが、今後は「地域ケア会議」などの地域活動においても必要になってきそうです。

ところで、なぜ「多職種連携」が「地域ケア会議」において必要なのでしょうか。それは、厚生労働省が「地域ケア会議」を重視すべき理由として、次のことをあげているからです。それは高齢者が増加する一方、現役世代が減少しているため、一層、多職種連携や地域住民の協力が必要になっているということです。高齢化が進むなか、地域の医療関係者だけでなく地域住民を含めた地域全体が、職種や専門知識の隔たりなく協力し合うことが必要になっています。地域が一丸となることにより、高齢者が尊厳ある生活を継続できる「地域包括ケア」を実現しようとしているのです。

■地域ケア会議における多職種のなかの薬剤師の役割とは?

これまで薬剤師は「地域ケア会議」への参加について、それほど必要性には迫られていませんでした。実際、医療従事者のなかでは医師や看護師がメインで、薬剤師の参加は少なかったようです。しかし、かかりつけ薬剤師指導料の要件に加わったことからして、薬剤師は「地域ケア会議」でより具体的な役割を担うべきときが来たと考えられます。

横浜市地域包括支援センターが実施した個別ケースにおける「地域ケア会議」では、多職種が意見交換した結果、「薬剤師による居宅療養管理指導の導入につながる」という効果が出たそうです。また、地域包括ケアシステムにおいて、薬剤師は医療間の多職種連携のコーディネーター的役割を担うことで貢献できるともいわれています。

■多職種連携をスムーズに進めるためのヒント~在宅医療の教訓から

すでに在宅医療の分野では多くの薬剤師が活躍しています。そこで、地域包括ケアシステムに参画していくに当たり、薬剤師はどのように多職種連携を進めていくべきか、よりスムーズに進めるにはどうすればよいかを、在宅医療の学びからヒントを得ることができます。

薬剤師は在宅において、食事、排泄、睡眠、運動の各面から患者さんの体調を定期的に確認し、薬剤の効果や副作用をアセスメントする役割があります。多職種連携においては、訪問看護の看護師やケアマネジャーに対し医薬品情報を提供したり、薬剤訪問指導内容の共有、重篤な副作用の説明、服薬介助などをおこなったりします。そして、看護師からは薬の副作用や症状の変化など、ケアマネジャーからはケアプランや介護保険、生活・経済状況などの報告やフィードバックを受け、業務に役立てます。

薬剤師は、このように薬の専門家・管理者としての専門性を発揮しつつ、チーム全体としての患者さんの健康維持と改善という大きな目的のために動くことになります。このとき注目したいのは、「薬剤師であること」は二の次になっているということです。つまり、薬剤師、看護師、ケアマネジャーなど、どのような職種であっても、「患者さんの健康維持と改善のため」という共通の目的を持っていることが大前提となっているのです。

ただ専門性だけで各職種が突き進んだとしても、そこには「患者さんのため」という根本的なものが欠けてしまい、結果的に手落ちが生じることも考えられます。つまり、共通の目的を意識しながら、自分の専門性を生かすというスタンスでかかわることが、多職種連携では重要となってきます。

在宅医療の分野における多職種連携では、このような教訓がすでに上がってきています。そして、「患者さんのため」という共通の目的を持つことで、自然と多職種連携ができるという教訓も多くの人たちがすでに会得しています。

■地域包括ケアシステムにおける多職種連携をスムーズにおこなうには?

地域包括ケアシステムに参画するに当たって、このような在宅医療の多職種連携をヒントにすれば、「地域医療をよりよいものにすること」「高齢者にとって尊厳が守られ、長く自分らしい生き方のできる社会にすること」という共通の目的意識を強く持つことが重要になりそうです。

かかりつけ薬剤師指導料が新設され、その要件としてかかげられた医療に関する地域活動への取り組み。地域包括ケアシステムの構築に向けて、今後ますます重要になってくると考えられます。多職種連携が推進されるなか、目的を意識しながら一歩先を行くコミュニケーションがとれる薬剤師として活躍していきましょう。


知っトク!おトク!豆知識

健康・医療分野におけるITC化 国民がメリットを感じられる今後の方向性とは
現在、医療情報のITC化は主官庁である厚労省と総務省で進められています。病院や薬局、そして介護も含む地域医療連携の全体をネットワーク化し、個人の健康・医療・介護分野の情報をパーソナルヘルスレコードとして本人が一元管理・活用できるようにします。ITC化された情報をスマホアプリで見ることができれば、利用者はどんな診断や投薬をされているかがわかります。また、本人自らが情報を持ち運ぶことにより、引っ越しなど地域を超えての活用や、複数診療科での活用、介護分野の多職種連携チームでの活用が可能となります。

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

薬剤師インタビュー

アクセスランキング

1

[薬事医療業界ニュース]

建物外への出入口が必要‐「調剤所と同様」判断で見解
2

[特集コラム]

施設基準届け出の憂鬱 ~申請から2か月後に届いた受理通知~ ららくま薬局 熊谷信さん
3

[薬剤師インタビュー]

地域のみなさんから広く信頼してもらえる薬剤師になりたい 中央薬局 下村英紀さん

最新ニュース

一覧を見る

produced byアイデムエキスパート

pmdaメディナビ

バックナンバー

pmdaメディナビ