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メーカーに訊く!ジェネリック医薬品

なによりも患者さんのために―沢井製薬株式会社の挑戦

2015年6月25日

わが国は総人口のうち4人に1人が65歳以上の高齢者が占める超高齢化社会を迎え、それにともない医療費は毎年膨らみ続けています。今後、すべての国民が安心して医療を受け続けるためには、膨張する医療費をいかに抑えていくかが課題です。その解決策のひとつとして政府が普及促進するジェネリック医薬品の使用は、まだ十分とはいえない状況にあります。
今回は、「なによりも患者さんのために」を企業理念とし、長年にわたってジェネリック医薬品の普及に努めてきた沢井製薬株式会社(以下、沢井製薬)のMRである松下信一朗さんに、いままで聞けなかったジェネリック医薬品についての疑問に対する回答や、ジェネリック医薬品を普及させるために役立つ情報についてうかがいました。

■ジェネリック医薬品を知ってもらうことからのスタート

新薬と同じ有効成分でつくられ、効能・効果は新薬と同等であるにも関わらず、価格が安いジェネリック医薬品。現在では医療従事者のみではなく、一般の方への認知度も向上し、沢井製薬がおこなった調査によると、ジェネリック医薬品を知っていると答えた人はほぼ100%、内容まで理解している人は約91%にのぼっています。ところが、20年ぐらい前までは、先発品に比べて品質が劣るものだと誤解されていました。
沢井製薬ではこうしたジェネリック医薬品の誤解を解き、安全性や有効性の理解を促進させてジェネリック医薬品の地位を向上させるための情報提供を長年にわたりおこなってきました。

医薬情報担当者 松下信一朗さん
沢井製薬株式会社 東京第一支店営業1課

「お薬を実際に使用する患者さんに対しては、市民公開講座の開催、テレビコマーシャルや健康情報サイトで情報を提供するとともに、使用の希望を申し出やすくするためのジェネリック医薬品希望の意思を示すカードやシールなどのグッズの作成・配布をおこなってきました」
こうしたジェネリック医薬品の正しい知識を普及するための情報提供活動は、患者さんの治療に対してさまざまなメリットをもたらすためにも役立っています。

「患者さんの服薬コンプライアンスを低下させる理由のひとつに経済的負担があげられており、慢性疾患の患者さんにとって、毎月の医療費は少なからず経済的負担になっています。こうした患者さんがジェネリック医薬品を使用すれば医療費の負担を軽減させることが可能になります」
たとえば、高血圧症、脂質異常症の治療で代表的な治療薬を1年にわたり1日1回服用した場合、ジェネリック医薬品に変更することにより軽減される負担額はそれぞれおよそ2,190円、5,480円。糖尿病の治療で代表的な治療薬を1年にわたり1日3回服用した場合はおよそ9,850円と試算されます。
「また、治療のために新薬の追加が必要になった場合、これまでの処方薬をジェネリック医薬品に変更すれば、経済的負担をさほど増やすことなく、最大の治療効果を得ることにもつながります」

沢井製薬が医療従事者のみではなく、一般の方に向けた情報提供活動にも力を入れている背景には、患者さんがよりよい医療を受けるために役立つ情報を届け、患者さんの健康に寄与したいという願いが込められていたのです。

■ジェネリック医薬品に対する心配や不安をなくすために

一方、医療現場に対しては、よく聞かれる不安や疑問の声を解消させるために、大きく3つのポイントに注力してジェネリック医薬品の普及に努めてきました。

沢井製薬 関東工場

①安定供給
安定供給のため、沢井製薬では2015年6月時点で全国6工場を構え、約9ヵ月分の在庫を確保、市場にも流通在庫が約2ヵ月分ある状態となっています。さらに、安定供給が危ぶまれる事態を回避するために、原薬の仕入れ先を2ヵ所以上にする、医薬品製造工場を1製品につき2工場で製造承認を得るといった対策をとっています。

②情報提供
前述のような一般の方向けへの情報提供とは別に、医療従事者用のウェブサイトの整備、24時間365日薬剤師対応の医薬品情報センターの設置、約500名体制のMR、抗がん剤領域で連携する専門のメディカルアドバイザー体制、各種勉強会や説明会の実施などさまざまな情報提供体制をとっています。

③安全性
医薬品医療機器等法(薬機法)にもとづく基準や規制をクリアし、品質がきびしく管理された製品を供給しています。

「安定供給ができなくなることは、医療現場へはもちろん、その先にいる患者さんに対しても多大な迷惑をかけ、ときには健康に対しての損失をも引き起こすことに結びつきかねませんから、徹底して管理しています」

また、安全性に関してはとくに医療現場から多くの疑問の声が寄せられるため、情報収集・提供を細やかにおこなうとともに、その後のフォローアップも欠かしません。
「たとえば普通錠を口腔内崩壊錠(OD錠)にすると、添加する賦形剤などが先発品と異なることがありますが、その新しく開発されたジェネリック医薬品は厳格な審査を受け、クリアしており、効果や安全性は国によって保障されています。しかし、それでももし疑問や不安などがあったら、担当MRに気軽に声をかけてください。医療現場で働く薬剤師さんの不安を解消し、安心して患者さんに向き合うことができるよう、日々蓄積している情報を提供し、患者さんのためにお役立ていただくのが私たちの使命です」

■医療現場の声から生まれたさまざまな工夫

沢井製薬では、MRが保険薬局や病院などの医療現場で得た情報や、コールセンターに寄せられた声を集約して、開発部門をはじめとする複数の部署と共有し、既存の医薬品にプラスアルファの価値をつけて医療現場へとフィードバックすることに力を入れています。
「医療現場の声から製剤そのものにおこなわれた工夫としては、錠剤への製品名の印字があげられます。高齢の患者さんの増加にともない、一包化調剤をする機会が増えてきた調剤の現場で、調剤・鑑査ミスを減らすために新たに取り入れました。これは、患者さんの服薬間違いを防ぐためにも役立つという声もいただいています。また、入眠剤のゾルピデム酒石酸塩に関しては、これまでになかった口腔内崩壊錠(OD錠)を開発しました。これは普通錠だと寝る前に服薬のために水分をとることで、夜間にトイレに行きたくなり中途覚醒してしまうという声や、トイレに行く途中でふらつき・転倒などの危険性があるという声を受けたことから生まれました」

医薬品そのものだけではなく、パッケージにもさまざまな工夫が凝らされています。
「経口プロスタグランジンE1誘導体製剤のリマプロストアルファデクス錠では、手に力が入りづらい患者さんが服用しやすいようにPTPシートに工夫をして、薬を取り出しやすくしてあります」
そのほか、医薬品の期限やロットの管理が容易になるよう外箱にミシン目を入れて、ハサミなしで切り離して調剤棚にすぐに入れられるようにする、薬局で過剰在庫を抱えるのを避けるため包装単位を小さくするなど、現場の声が反映された新しい製品がつぎつぎに誕生しています。

■なによりも患者さんの健康のために

沢井製薬では今後、患者数が増加傾向にある生活習慣病領域およびオンコロジー領域の製品開発に注力していく予定です。その背景には、患者数の増加にともない、ニーズが高まっているのはもちろんのこと、これら2領域は治療が長期化することが多く、患者さんの薬剤費負担が大きい領域であることもあげられるといいます。
「これらの領域の製品開発を積極的に進めることを通し、患者さんが経済的な負担を理由に治療を中止しなくてもいいように、また、こうした問題に頭を悩まされることなく治療に専念するための力になりたいという私たちの願いも込められています」
また、今後開発される医薬品の安定供給を可能にするための新たな生産拠点創出などの設備投資も積極的におこなっていく予定です。

「沢井製薬では疾患領域によって担当MRを分けることなく、地域ごとに担当MRがおり、地域密着型で情報提供活動をおこなっています。疾患のことのみならず、ジェネリック医薬品全般のことや診療報酬改定など、幅広い分野の情報収集をしていますから、薬剤師さんの身近にいる情報源として気軽に声をかけて、活用していただければと思っています」

“なによりも患者さんのために”をスローガンに、沢井製薬の挑戦はこれからも続いていきます。


沢井製薬株式会社概要
1929年、大阪市旭区に澤井範平、乃よ(薬剤師)が沢井製薬の前身となる澤井薬局を創業する。 1948年、澤井製薬株式会社(現 沢井製薬株式会社)を設立し、1965年に一般用医薬品メーカーから医療用医薬品メーカーへシフトする。2003年、東京証券取引所市場第一部に上場、翌年からのテレビCMなど積極的な啓発活動により、ジェネリック医薬品の社会的信用と知名度向上に貢献し、ジェネリック市場におけるNo.1プレゼンスメーカーとなる。

知っトク!おトク!豆知識

健康・医療分野におけるITC化 国民がメリットを感じられる今後の方向性とは
現在、医療情報のITC化は主官庁である厚労省と総務省で進められています。病院や薬局、そして介護も含む地域医療連携の全体をネットワーク化し、個人の健康・医療・介護分野の情報をパーソナルヘルスレコードとして本人が一元管理・活用できるようにします。ITC化された情報をスマホアプリで見ることができれば、利用者はどんな診断や投薬をされているかがわかります。また、本人自らが情報を持ち運ぶことにより、引っ越しなど地域を超えての活用や、複数診療科での活用、介護分野の多職種連携チームでの活用が可能となります。

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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