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メーカーに訊く!ジェネリック医薬品

製剤の工夫で、患者さんの“こころ”を笑顔に

2015年8月25日

東和薬品株式会社
信頼性保証本部医薬情報部課長補佐 木村真弓さん
ジェネリック医薬品の台頭とともに、オーソライズドジェネリックへの注目が集まっています。東和薬品株式会社(以下、東和薬品)の沖本和人取締役執行役員製剤技術本部長は7月3日に都内でおこなわれたインターフェックスジャパンでジェネリック医薬品を取り巻く環境変化について講演し、そのなかで、今後も医療従事者と患者さんに選ばれる医薬品であり続けるためには「オーソライズドジェネリックに打ち勝つ製剤技術が必要」と述べました。
今回は、製剤技術を磨き、患者さんが飲みやすいジェネリック医薬品を提供することで患者さんの「こころの笑顔」を大切にし続けてきた、東和薬品から、医薬情報部課長補佐の木村真弓さんにお話を伺いました。

第1回 直販体制で医療機関と患者さんのニーズをいち早くキャッチ

■医薬品の安定供給のために

医薬品を安定供給すること、それは医療用医薬品メーカーに課せられた使命のひとつです。
東和薬品では、ジェネリック医薬品の安定供給のためにさまざまなリスク管理をしています。そのひとつが、お薬の原薬を複数の原薬メーカーから仕入れることです。万が一、いずれかの原薬メーカーからの供給が滞ったとしても、ほかの原薬メーカーから安定して入手できるよう、複数の原薬メーカーから調達する取り組みを進めています。さらに、グループ会社の大地化成において原薬を製造(自製化)することで、原薬のさらなる安定確保に向けた取り組みを進めています。また、生産体制においては大阪、岡山、山形の3カ所に工場を設立。各製品の製造許可を複数の工場で取得し、万が一いずれかの工場が災害などで生産できなくなった場合でも、ほかの工場で生産を続けることができるようバックアップ体制を構築中です。

■卸を通さない直販体制って?

医療の現場では、安定供給はもちろん、迅速な医薬品の供給が求められる場面もあります。そこで東和薬品では、「東和式直販体制」という独自の販売体制を確立させています。
この、あまり耳慣れない「直販体制」とは、いったいどのような取り組みなのでしょうか。
「当社のジェネリック医薬品は、患者さんの負担を軽減するために低価格であるだけではなく、東和薬品ならではの価値をプラスして患者さんが“この薬があって良かった”と笑顔になっていただけるように開発、生産しています。ところが、こうした付加価値は、お薬を患者さんに処方する医師や、お薬を調剤する薬剤師さんに理解し、納得していただけなければ、どんなに工夫した医薬品をつくったとしても患者さんの元に届きません。そこで当社は卸を通さず、全国各地にある62カ所の営業所と67カ所の代理店から医療現場に直接訪問し、当社の製品に関する情報提供をおこなうとともに製品をお届けする、東和式直販体制を整えています」

「直販体制で製品をお届けすることで、大きくふたつのメリットがあります。一つ目は、お薬を届ける際にも医療機関を訪れることができるため、医療従事者の方々と密なコミュニケーションをとれること。二つ目は、このコミュニケーションを通して、現場における意見や要望の声をいち早く拾い上げ、社内へフィードバックできることです」
こうして現場からの声を反映させて改良した医薬品が、東和薬品から生まれています。

■医療現場の声を医薬品の新しい付加価値として反映

医療現場からの声は、東和薬品のジェネリック医薬品にどのように反映されているのでしょうか。
「医師や薬剤師などの医療従事者からの声を新しい価値として反映させた製品には、大きく分けて“医療現場でよろこばれる工夫を施したもの”と“患者さんによろこばれる工夫を施したもの”があります。まずは、医療現場でよろこばれた工夫をいくつかご紹介します」

①錠剤への製品名印刷と印字カラーの工夫
お薬を調剤する際、半錠にするために割線で割ってしまうと、何のお薬か分からなくなってしまい、監査に時間がかかってしまうことがあります。そこで東和薬品では割線を認識し両側に製品名の一部と規格を印字し、分割後もどのお薬か分かるように工夫した製品があります。また、黒色の印字だと粉砕したときにゴミが混入しているように見えるという声を受け、東和薬品では製品名印刷の色にもこだわり、黒色ではなく緑色などほかのカラーを中心に用いています。

②バラ包装のボトルに詰めた緩衝材の工夫
バラ包装のボトルからお薬と蓋の間に詰まっているビニール緩衝材を引き出そうとしたら、緩衝材に錠剤がからまってこぼれてしまったという声から、緩衝材と錠剤やカプセル剤が一緒に出てきてしまうのを防ぐためにネット状の素材へと緩衝材を変更しました。

③アルミピローへの製品名表示の工夫
アルミピローに入れた状態で調剤棚に保管していた際、1カ所にしか製品名が表示されていないと確認の手間がかかるという声から、アルミピローのすべての面に製品名・規格を表示しました。これにより、調剤棚に入った状態でもどの製品か分かるようになっています。

「今後も、医療現場で医療従事者が扱いやすい新しい価値をもった製品開発を、スピード感をもって進めていきます」

■患者さんが笑顔で飲めるお薬を

お薬が飲みやすければ、患者さんは服用を継続しやすくなります。そして、この良好な服薬コンプライアンスは、患者さんご自身の健康につながる近道となります。
こうした考えにもとづき、東和薬品では「患者さんが飲みやすく、服薬を続けられる薬」を考えた製品開発を進めています。
「好評の声をいただいている製剤のひとつに、認知症治療薬の内用液およびOD錠(口腔内崩壊錠)があります。認知症の患者さんでは味に抵抗があると服薬拒否になるケースも多く、飲みやすい味・形にすることで患者さんご本人はもちろん、介護するご家族やヘルパーさんなどの与薬負担を軽減することにも役立っています。また、感染症の治療で頻繁に用いられるニューキノロン系のお薬では、錠剤が大きく嚥下機能が正常な方でも飲みづらいことがあるとの声から、誰でも服用しやすいようにOD錠(口腔内崩壊錠)を開発し、大きさによる飲みづらさを解消することに成功しました。また、このお薬でも内用液を開発しています。当初は苦みのマスキングが十分ではなく、飲みづらいとの声があったため、これを解消するために矯味剤に工夫を施し飲みやすくしました」

今後も「患者さんが少しでも“飲みやすくなった”と感じ、服薬を容易にするために“このお薬はどのような剤形が適切か”を一から考えて製剤開発を進めてまいります」と木村さんは語りました。
こうして製剤工夫に尽力してきた東和薬品ですが、製剤に工夫をすることにより、医療現場からあがってくるのが「添加剤の差により安全性に相違はないの?」という声です。

東和薬品 中央研究所

次回は、東和薬品の安全性に対する取り組みをご紹介します。

東和薬品株式会社概要
1951年、大阪市東区淡路町に、東和薬品株式会社の前身となる「東和薬品商会」を創業。
1957年、大阪市東区道修町に移転し、「東和薬品株式会社」を設立。ジェネリック医薬品の製造・販売を通じて「人々の健康に貢献します」、「こころの笑顔を大切にします」という企業理念のもと、患者、医療関係者、地域社会をはじめとするすべての方々にこころから喜ばれ、求められる企業をめざし、躍進し続けている。

知っトク!おトク!豆知識

健康・医療分野におけるITC化 国民がメリットを感じられる今後の方向性とは
現在、医療情報のITC化は主官庁である厚労省と総務省で進められています。病院や薬局、そして介護も含む地域医療連携の全体をネットワーク化し、個人の健康・医療・介護分野の情報をパーソナルヘルスレコードとして本人が一元管理・活用できるようにします。ITC化された情報をスマホアプリで見ることができれば、利用者はどんな診断や投薬をされているかがわかります。また、本人自らが情報を持ち運ぶことにより、引っ越しなど地域を超えての活用や、複数診療科での活用、介護分野の多職種連携チームでの活用が可能となります。

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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