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薬剤師インタビュー

2013年6月25日

武澤恵理子さん
関越病院 中央診療部 薬剤科
1998年に城西大学薬学部薬剤科を卒業し、社会医療法人社団 新都市医療研究会[関越]会関越病院に就職。関越病院の中央診療部薬剤科に勤務。調剤、処方鑑査、医薬品管理、無菌調製、病棟活動など、病院内薬局の業務全般に携わる。2009年、認定実務実習指導薬剤師、研修認定薬剤師を取得。現在、短時間勤務制度を活用して2歳のこどもを育てながら仕事を続けている。

―武澤さんは、なぜ薬剤師になろうと思われたんですか?

わたし自身は看護師になりたいと思っていたんです。こどものころ風邪をひいたりして病院に行くと、看護師さんがやさしくしてくれて……。わたしも、病気の方を支えられる仕事をしたいと思うようになりました。薬学の道に進んだのは、高校に薬学部の指定校推薦枠があって、両親に「受けてみたら」と勧められたことがきっかけでした。

―医療に携わりたいという気持ちが強かったんですね。

そうですね。病院に就職したのも、医療現場で働きたかったからです。規模としては、大きな病院よりも中規模なところを希望していました。大きな病院はスタッフも多いので、専門性を磨いて特化された業務をおこなっていくイメージがありました。中規模の病院は少人数でいろんなことをやらなければいけない大変さがある反面、全体の状況を把握しながら治療に関わっていかれそうなところに魅力を感じたんです。

―就職先に関越病院を選ばれた理由は?

日常的に受診していたわけではないんですが、地域に根ざした医療をおこなっている関越病院には小さいころから馴染みがあったというのが大きな理由です。
鶴ヶ島には入院設備の整っている病院は2施設しかありません。これからも地域医療を支えていく拠点になるだろうし、両親が高齢になったときにお世話になるのはこういう病院なんだろうとも思いました。医療人としてやりがいを感じながら働ける現場なのではないかと思って、就職を決めました。

―薬剤師として、どのような業務に携わっているのですか?

調剤をはじめ、処方鑑査、医薬品管理、無菌調製業務、病棟活動など、薬剤に関わる業務全般に関わっています。現在、関越病院には18名の薬剤師が在籍していますが、人数が限られていることもあって、業務内容ごとに担当を決めるのではなくすべての業務をローテーションしながら分担するシステムなんです。もちろん、新人のうちからすべておこなうわけではなく、キャリアによって担当する範囲が広がっていくようになっています。わたしが入局した当時は、調剤業務に慣れてきてから病棟に出る感じでしたが、6年制を卒業した人たちは病院実習も経験してきているので、わりと早い段階から先輩について病棟を回るようになっていますね。

―認定実務実習指導薬剤師と研修認定薬剤師も取得されています。なぜそのふたつを取得されたのでしょう。

わたし自身が勉強したかったというのが直接的な理由です。調剤の指針も新しくなっていますし、薬剤や薬物治療もどんどん進化しているので、現場で最新の医療に携わっていくためには基礎からしっかりつくりなおしたいな、と……。研修認定薬剤師の資格は、更新するために3年で30単位を取得する必要があって、最新の情報や技術を学び続けていく動機づけにもなっています。もちろん、業務のうえでも、実習生を受け入れるために役立っています。

―薬学生の受け入れに際して、プログラムの作成にも携わったそうですね。

同僚とふたりでプログラムを策定しました。2ケ月半の実習でしっかり学んでもらえるよう、講義や実務実習について細かく設定しています。実習前にSBOs(行動目標)のチェックシートを大学に送って参加する学生さんにやってもらいます。分厚いテスト用紙が送られてくるので学生さんは大変かもしれませんが、事前に問題意識を持って実習に入るため、そのぶん内容の濃い実習ができていると思いますし、積極的に学んでもらえているように感じます。学生さんたちには、やりとげたときに充実感を感じてもらえたり、世の中に出たあとで思い出してもらえたりしたら嬉しいですね。

―いまも実習を担当されているんですか?

昨年までは中心的に携わっていましたが、ある程度の骨子ができたので、引き継ぎをおこない一歩引いた立場で見守っています。実習の受け入れには立ち上げから関わってきたので思い入れはありますが、交代することにより別の視点から見た改善点などをフィードバックしています。朝のミーティングで科長から実習についての連絡があったり、実習生のいない土曜日に様子を伝え合ったり、薬剤科のなかでの連携をしっかりとりながら対応しています。

―関越病院は、薬剤師のフィジカルアセスメントにも積極的に取り組んでいるそうですね。

厚生労働省が「医療現場での薬剤師の積極的な活動を求める通知を出したことにより、日本病院薬剤師会が薬剤師も積極的にフィジカルアセスメントをしていくべき」という方針を打ち出しているなかで、個人的にも、薬剤師自らが患者のバイタルサインを確認し、必要に応じてフィジカルアセスメントをおこない、他職種と共同しながらチーム医療に介入していくことはとても重要だと思っています。患者さんの症状を文献と照合することで知識と症例を結びつけることができるようになり、副作用の早期発見や適切な処方提案をおこなっていくことができるようになりますから。ただ、関越病院は薬剤師の人数が多いわけではないので、調剤や処方鑑査など通常の業務だけでも多忙を極めていて、そこまで関与できていないのが実情です。現在は、看護師がおこなったバイタルチェックのデータをもとにして確認することが多く、チーム医療のなかで回診時に医師や看護師から指導を受けています。それでも、医師に直接処方意図を確認したり、検査値を見たりできるのは、副作用や処方の確認に役立っていると思います。

―病院の薬剤師としてやりがいを感じるのは、どのようなときですか?

処方鑑査をして、どういう経緯で医師から処方されたお薬なのか疑義照会をした結果、処方が変更になったり、配合変化など処方設計に携われたときですね。
病院薬剤師として薬物治療に関わっているという実感があります。でも、一番やりがいを感じるのは、やはり患者さんが笑顔で退院していく場面に立ち会えること。患者さんが元気になっていく様子を目の当たりにできるのは、医療従事者としてなによりも嬉しいことだと思います。


―武澤さんは、子育てをしながら働いていらっしゃいます。薬剤師としてのキャリアデザインと、女性としてのライフデザインを両立させる秘訣はなんですか?

職場と家族の理解とフォローがなければ、仕事を続けることは難しいと思います。
現在は、短時間勤務制度を利用していて、通常8時半から17時半の勤務のところ、9時から16時になっています。12時半から21時半の夜勤も入っていません。仕事の内容は通常勤務と変わりませんが、時間が短いぶん、ほかの薬剤師に負担がかかります。家庭でも、主人に家事を分担してもらったり、わたしの実家が近いので母にも手伝ってもらったりしています。母には、とくにこどもが熱を出したときに面倒を見てもらっていますね。やはり急に休むと、職場に迷惑がかかるので……。

―家庭でのフォローで一番助かるのは、どんなことですか?

夕食の支度を手伝ってもらえるのがいちばん助かります。主人は、もともと料理は好きだったようで、こどもが生まれてから積極的に手伝ってくれるようになりました。そのほかにも、寝かしつけているあいだに洗濯物をたたんでおいてくれたり、こまごましたことをフォローしてくれています。

―武澤さんご自身が心がけていることもあるのでしょうか。

家庭でも職場でも、「やってもらって当たり前」と思わず、必ずことばにして感謝の気持ちを伝えるようにしています。笑顔で「ありがとう」と言うことで、お互いに気持ちよく過ごせるじゃないですか。あいさつはコミュニケーションの基本なので、大事にしていきたいですね。

―今後のビジョンをお聞かせください。

これからも、この病院で長く働いていきたいですね。
いまの科長は、部下や学生の指導の仕方にしても、医師や看護師との連携の仕方にしても信頼できる方、人柄も仕事も尊敬できます。夫や母の協力を仰ぎつつ幼稚園と病院内の保育所で二重保育を活用しながら、わたし自身も薬剤師として成長していきたいと思っています。

学生のころから、ビーズアクセサリーを作成しています。ストラップやヘアアクセサリー、小さなマスコットなどを設計図どおりにつなげていくんです。作業に集中している間は仕事のことを忘れてリフレッシュできますし、完成したときの達成感も味わえます。いまは子育てで忙しく、あまりビーズに触れていませんが、落ち着いたらまた再開したいと思っています。

知っトク!おトク!豆知識

「思いやる心」で大きく変わるクレームの価値
クレームは会社や店舗を改善する貴重な情報源と言われています。
「claim」は「要求する」という意味で、患者様やお客様の当然の権利・要求と位置づけられ、苦情(complain)とは異なるものです。クレームを苦情として受けとるとネガティブな要素が多くなり、対応も鈍化しかねません。受ける際にはポジティブにとらえ、患者様が時間をさいて貴重な意見や情報を伝えてくれている、という姿勢で望むことが大切です。そのポイントは、自分の価値観で判断せず、まずは相手の話を最後まで聴き、相手の感情に共感することです。

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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