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薬剤師インタビュー

2013年8月23日

村上百代さん
自然美 漢方薬店・美容サロン
薬剤師・「日本ヘルス協会」講師
1981年、北里大学薬学部薬学科を卒業し、大手製薬会社に就職する。研究部の試験課で、製品の安定性を確認する分析研究に携わる。仕事で医薬品に関わるうち、「健康」や「漢方」に興味を持つようになり、1982年12月に退職。1983年1月より、漢方薬店・美容サロンを通じて“若さを保つ健康美容”を提案する株式会社自然美システムに薬剤師として勤務。 結婚、出産というライフステージの変化にともない、自宅近くの調剤薬局とダブルワークをしながら、漢方を中心とした美容・健康の普及に務める。Blog「薬剤師村上百代の漢方コラム」などで積極的に情報発信もおこない、内容をまとめた2冊の小冊子『食材から診るももの漢方食養法』、『ももの漢方基礎理論』を出版している。

―薬剤師の職を選んだきっかけはなんですか?

母が軽い精神疾患で、「お薬で治せたらいいな」と思ったのがきっかけです。新薬の開発に携わりたいと思って、製薬会社に就職しました。ところが、現実はなかなか厳しかった。わたし自身に新薬の開発に携われるほどの能力がなかったこと、まだまだ男性優位の時代に女性が働いていく難しさなどもあり、2年弱で退職を決意しました。


―産休や育休などの制度もない時代ですよね。

産休どころか、女性は結婚をしたら退職するのが当たり前という時代でした。仕事内容も給与などの処遇も男性のほうが優遇されていましたし、「ここにいても、やりがいのある仕事はできない」と感じはじめました。同時に、お薬のことがわかるようになるにつれて「お薬だけで健康になることはできない」と思うようにもなっていったんです。

―「健康になるためにはどうしたらいいか」という観点から、漢方に興味を持つようになったんですね?

食事や生活習慣など、もっと根本から考えないといけない、と気づいたんです。生活を正して養生することが健康につながります。学生時代は「漢方って本当に効果があるの?」という疑問のほうが大きかったのですが、本を読んだり勉強会に参加したりするうちに、自分も関わっていきたいと思うようになりました。ちょうど、製薬会社で将来のビジョンを描けなくなっていたとき、転職情報誌で「自然美」のことを知り、応募したんです。

―漢方薬局ではなく、自然美に興味を持たれた理由は?

「東洋医学と西洋医学の優れた理論を組み合わせて健康美容を目指す」という理念に共感したんです。当時の自然美は、抜け毛や白髪などのヘアトラブルを根本から解消し健康に導く理論で注目を集めはじめた時期で、生薬をベースにしたオリジナルのシャンプーやヘアパックなどを開発して販売していました。髪の毛も皮膚の一部ですから毛髪の状態は健康状態に大きく左右されますが、ヘアケア用品だけで改善しようとするのではなく、カウンセリングをして漢方薬や食養法、運動療法なども採り入れながらケアしていくところにやりがいがある、と感じて入社を決めました。

―村上さんも、カウンセリングを担当していらっしゃるんですか?

わたしの担当は、主にカウンセリングと漢方薬の販売です。自然美では、東洋医学をベースにした独自の理論で、相談にいらした方の体質や症状を判別し、最適なケアをお勧めしています。まずは体型や立ち方、顔や目の色など外見を見て、それから症状を聞き、質問をし、必要があれば触診をする、という漢方の四診法「望聞問切(ぼうぶんもんせつ)」を基本にカウンセリングをおこない、体質を見極めます。さらに頭皮のチェックをすることもありますね。タイプにあわせて、生活習慣や食事を見直すためのアドバイスをしたり、シャンプーや漢方薬の販売をしたり、併設の美容室や漢方エステなどと一体になってマッサージをしたり、健康や美容、毛髪、肌トラブルのケアをしています。


―しっかりした漢方の知識が必要だと思いますが、どのように勉強されたんですか?

漢方や東洋医学の本を読んだり、勉強会に参加したり、実地の部分では先輩から教わったりしました。『漢方基礎理論』の著者、織田啓成先生が主催されている勉強会、中医学のメーカー「イスクラ」が開催していた勉強会には、よく足を運びました。それから、台湾出身の中国医学研究家で、自然美の顧問をしていらした故・張 明澄先生にもいろいろと教えていただきましたね。張先生は食養法にも精通していらしたので、先生が監修なさった『薬膳料理教室』の出版にも、制作スタッフの一人として携わりました。

―薬膳料理のレシピを考案されたのでしょうか。

調理法や栄養指導は管理栄養士が担当してくださいました。わたしは、薬膳料理の理論や材料の効能などをまとめたんです。「自然美教室」の一環として毎月、薬膳料理教室を東京・新宿で開講したり、東京・大田区からの依頼で出張薬膳教室もおこないました。

―村上さんご自身でも、『食材から診るももの漢方食養法』と『ももの漢方基礎理論』という小冊子を出版されています。

自然美から書籍を出そうということになり、その準備として、2007年の10月から漢方に関係する話をブログで書きはじめたのがきっかけです。「テーマを決めたほうがわかりやすいだろう」と思ったので、漢方の食養法に通じる食材の特徴や作用についてまとめていきました。1年半ほど更新を続けて100種類を超えるボリュームになったところで『食材から診るももの漢方食養法』として出版したんですが、「漢方の専門用語が多くてわかりにくい」というご指摘をいただいた。そこでブログで漢方の基礎について書いていき、『ももの漢方基礎理論』にまとめました。

―たとえば、秋におすすめの漢方養生法にはどのようなものがありますか?

夏の疲れが出る時期は、暑さで胃腸も弱っています。また、秋は感傷的な気分になりやすい季節。胃腸の働きを活発にし、体を温めてくれるネギやショウガがおすすめです。量はそれほど必要ないので、薬味として使うだけでもOK。味噌にも体を温める作用があるので、お味噌汁の具に入れるのもいいですよ。ちなみに、漢方ではショウガを2種類に分類していて、ふつうのショウガを「生姜(しょうきょう)」と言いますが、干して乾燥させた「乾姜(かんきょう)」のほうが体を温める効果が高いとされているので、冷え症が気になる方は乾姜を試してみるといいかもしれません。

―健康・美容につながる漢方や食養法を広めていきたい、というお気持ちが強いんですね。

まだまだ漢方や東洋医学はマイナーですが、もっと多くの方に生活のなかで健康を考える機会や手段を持っていただきたいと思っています。ブログや書籍で発信するほか、漢方の養生法をテーマにカルチャースクールの講座を開いたり、講演会で講師をしたり、自然美の漢方薬店だけに留まらず活動を続けているのも、その気持ちが強いからですね。

―村上さんは、ご自宅近くの調剤薬局でも働いていらっしゃいます。お子さんが小さいときに「通いやすいところで仕事をしたい」とダブルワークをはじめられたそうですが、勤務先に調剤薬局を選んだ理由はなんですか?

西洋医学のお薬についても勉強していきたいと思ったからです。医学がどんどん進歩して人間の体のメカニズムも解明されていくし、新薬も次々に開発されています。それを知ることは純粋におもしろいんですよね。たとえば、血圧のお薬。わたしが大学を卒業したばかりのころは降圧利尿剤とカルシウム拮抗剤の数種類でしたが、現在ではACE阻害薬やARBなども主流になっています。新薬の勉強会に行くと80代の薬剤師さんがいらしたりしますし、わたしもまだまだ学んでいきたいと思って、いまも調剤薬局で働き続けているんですよ。

―今後の目標を教えてください。

漢方の勉強は、新しいことを知っていくというよりも、歴史をどんどんさかのぼって、掘り下げていくもの。勉強を続けるうちに漢方のルーツでもある「陰陽五行」に興味を持ったことから、「算命学」という占いに行き着き、かなり深く学びました。誕生日を基準に観る占いなんですが、「生年月日で体質にも特徴が出る」という考え方があるので、カウンセリングの際に参考にすることもあります。いずれは、算命学をベースにした健康法を書籍にまとめたいな、と思っているんですよ。

いつも「いい塩梅」を心がけています。漢方がいい、食養法がいい、と言っても、がむしゃらにやるばかりではかえって体に負担になることもあります。玄米菜食は基本的には健康食ですが、胃腸が弱っているときには消化しにくい玄米をやめるとか、お肉も「ぜったいにダメ」ではなく、アミノ酸が若返りにもつながるので少し摂るとか……。なにごとも、ゆるく長く続けていきたいと思っています。

知っトク!おトク!豆知識

ストレス解消!5分のプチ掃除で気分も前向きに♪
職場の局内は常に清潔でキレイでも、自宅の掃除はある程度ホコリが目立ってきてからという方も多いと思います。 でも実はコマメな掃除は部屋がキレイになるだけでなく、心にもよい影響を与えてくれます。たとえば床や窓を拭くような反復動作は、脳内のセロトニンを増やし、心を落ち着かせる効果があります。1ヶ所でもキレイになると満足感が得られて気分もスッキリし、身体を動かすことで脳内がリフレッシュされ前向きな気分になれるのです。ストレス解消に効果的なプチ掃除を、職場で少し息が詰まったときにも活用してみてください!

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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