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薬剤師インタビュー

2015年3月25日

渋川淳子さん
株式会社ファーコス 首都圏第3ブロック
ディアファーマシー渋谷薬局
薬剤師
2004年、星薬科大学薬学部薬学科を卒業し、株式会社ファーコスに入社。千葉県君津市のこいと薬局に配属となる。2007年、東京都大田区のあい薬局に異動。在宅調剤業務に携わる。2010年より在宅についての社内研修で講師を担当するほか、帝京大学と星薬科大学でも在宅の講師を務める。2010年2月、日本静脈経腸栄養学会認定NST専門薬剤師取得。2013年1月より産休、育休を取得し、2014年4月にディアファーマシー渋谷薬局で職場復帰。子育てをしながら、薬剤師として勤務を続けている。

―渋川さんが薬学部に進学された理由は?

進路を選ぶときに思ったのは、大学は専門的なことが学べる分野に進みたいということ。将来、大学で得た知識を誰かのために役立てられると考えたからです。高齢化社会には医療分野がいいかな、と思って薬学部に進学しました。

―就職先に調剤薬局を選んだのも、「誰かの役に立ちたい」という気持ちが強かったからですか?

製薬会社も考えたんですが、直接的に患者さんと接する調剤薬局のほうが自分の原点に近いと思いました。ファーコスとの出会いは大学で開催された就職の合同説明会。ブースにいらしていたのは星薬科大の卒業生で、大学生のお子さんもいる女性薬剤師でした。とても感じがよくイキイキとしていらっしゃる様子が印象的で、結婚をしても仕事を辞めることは考えていなかったので、なんとなく将来の展望も見えたような気がしました。

―入社後の配属は千葉県君津市のこいと薬局でした。慣れない土地でご苦労はありませんでしたか?

土地勘のない場所でのはじめてのひとり暮らしで、クルマ通勤、仕事もスタートと、なにもかも環境が変わった戸惑いはありました。
しかし、先輩方もフレンドリーでしたし、同じようにひとり暮らしをはじめた同期入社の子とお互いの家を行き来したり、たのしみを見つけながら慣れていけたと思います。最後まで苦労したのはクルマでの移動。田畑に囲まれた地域だったので、在宅やお薬のお届けをするのに、何度も地図を見直しながら移動しました。

―こいと薬局はどのような位置づけの薬局だったのですか?

総合病院の門前薬局です。地域の方はなにかあれば行く病院だったので、多くの患者さんにとってかかりつけ薬局的な役割を果たしていたのではないかと思います。そのなかで、新人のうちはとにかく基礎をしっかり身につけるように心がけていました。3年上と5年上の先輩は、知識は豊富なのにけっして威張らないし、高齢の患者さんたちに親しみを持たれて頼りにされていたんです。そういう姿を見て「こういう薬剤師になりたい」と思うようになりました。

―先輩から、なにかアドバイスをもらったことはありますか?

日々、いろんなアドバイスをもらっていましたが、とくに記憶に残っているのは「知らないことを知っているように話さない」ということです。「患者さんに訊ねられてわからないことがあったら、その場で解決しようとせず、調べてあとから連絡しても構わない。お薬は命に関わることなので、責任感を持たなければいけない」。そう言われてからは、知らないことを訊かれることが怖くなくなりましたし、むしろ勉強するきっかけをいただいたとポジティブにとらえられるようになりました。

―入社から約3年半で、東京都大田区のあい薬局に異動されました。在宅調剤がメインの店舗だったそうですね。

家族の都合で実家に戻らなければならなくなり、自宅から通える薬局に異動させてもらいました。ちょうど在宅に力を入れていこうという時期で、あい薬局で在宅に対応できる薬剤師の育成をはじめるタイミングで配属になったんです。薬剤師は社員4名、パート1名の5名体制で、施設と個人、あわせて200件ほどを担当することになりました。エリア的には、大田区全域と品川区の一部です。無菌調剤室もあって、注射剤の混注もおこなっていました。

―個人宅に行くことに抵抗はありませんでしたか?

抵抗はありませんでしたが、はじめて契約に同行したときはやはり緊張感がありましたね。患者さんはどのような方なのか、どのような生活をなさっているのか、自分たちが在宅で関わることで安心していただけるだろうか。いろんなことが頭をよぎりました。しかし、在宅医療に関わる医療従事者よりも患者さんのほうが不安に感じているもの。
「来てもらえてよかった」と言っていただけたときは、ホッとしたと同時に、これから先もしっかり向き合っていかなければいけないなと気持ちを引き締め直しました。

―外来と在宅ではさまざまな部分でちがいがあると思います。とくに強くちがいを感じられたのはどのような点ですか?

お薬を配達するだけでなく患者さんに寄り添った在宅調剤をしていましたので、個人宅の状況把握をするうえで外来では見られない一面を見るようになったことです。また、施設では往診同行もしますし、個人宅の場合も外来と比べて医師との連携が強いと感じました。クリニックに顔を出したり電話で問い合わせをしたりすることも多く、年末には医療連携をしているみんなで集まって忘年会をやったりもしていたので、医師や訪問看護師、医療事務のスタッフまで顔が見える関係が築けていました。また、在宅の場合は往診に同行、個人宅の場合も情報提供書をもらったりするので、処方意図がわかりやすいのも特徴です。外来の場合には、処方されているお薬の内容と患者さんからうかがうお話から想像するしかありません。

―在宅にメインで携わるようになって、渋川さんの意識で変わったところはありましたか?

褥瘡に詳しくなりたいと思うようになりました。在宅の患者さんは褥瘡に苦しんでおられる方がけっこう多かったので、症状の軽いうちから薬剤師として関わっていかれないかと考えたんです。週に1回、港区にある病院の皮膚科で褥瘡の往診に同行して、薬剤の使用量と使用方法を勉強させていただきました。自宅療養中の患者さんにもフィードバックできるようになり、処方の変更を提案して改善されたケースもあります。医療連携スタッフ用の連絡帳に看護師さんが「よくなっている」と書いてくださったときは、ホッとしましたね。

―あい薬局在籍中には、在宅についての研修で講師も務められましたね。

あい薬局で在宅に携わるようになって3年目に、ファーコス全体として在宅に取り組んでいくため本社で研修をはじめることになったんです。あい薬局は在宅調剤の基幹薬局だったため講師の依頼がありました。研修では、症例をあげて実際の現場でなにをやっているかを紹介しました。また、帝京大学と星薬科大学でも2年間講義担当をしました。日中は薬局で仕事をして、帰宅してから深夜にかけての時間や休日を使って資料を作成。時間的には余裕がなくてたいへんでしたが、受講者に「伝わっている」と実感できてやりがいも感じられました。伝えるためには自分ができるだけではダメなんです。症例を振り返ることを繰り返すうちに患者さんを以前よりも注意深く観察したり、わかりやすく伝えるために調べ直したり、自分自身にとってもすごく勉強になりました。

―現在の職場、ディアファーマシー渋谷薬局は都心部の薬局です。なにか特色はありますか?

周囲にクリニックが多く、新規の患者さんが多い店舗です。
定期的に来局されるのは近くの精神科に通っている患者さんが多く、あまり話したがらない方も多いので、意見を押し付けないように気をつけています。どのような場合でも個々人に合った服薬指導が必要ですが、精神科にかかっている患者さんはセンシティブな部分も強く、よりいっそう気を遣う必要があると感じています。同じ患者さんでも日によって調子がちがうこともありますから、投薬台であいさつをしたときの感じや発する言葉を注意深く見ています。

こどもの写真を毎日撮っています。
日々の変化は小さいものですが、こどもって、確実に毎日成長しているんです。そのときには気づかなかった変化にあとから気づくこともありますし、1年前ってどうだったのかな?と振り返るのもたのしい。あとは、仕事をしていて一緒にいられる時間が絶対的に短いぶん、季節ごとのイベントはきちんとやろうと思っています。ハロウィーン、クリスマス、節分、端午の節句、七夕など、息子だけでなく家族でたのしんでいるんですよ。

知っトク!おトク!豆知識

健康・医療分野におけるITC化 国民がメリットを感じられる今後の方向性とは
現在、医療情報のITC化は主官庁である厚労省と総務省で進められています。病院や薬局、そして介護も含む地域医療連携の全体をネットワーク化し、個人の健康・医療・介護分野の情報をパーソナルヘルスレコードとして本人が一元管理・活用できるようにします。ITC化された情報をスマホアプリで見ることができれば、利用者はどんな診断や投薬をされているかがわかります。また、本人自らが情報を持ち運ぶことにより、引っ越しなど地域を超えての活用や、複数診療科での活用、介護分野の多職種連携チームでの活用が可能となります。

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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