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薬剤師インタビュー

2016年1月25日

衣笠繭さん
株式会社アシスト
あやめ薬局西の原店 薬局長
千葉エリアサブマネジャー
薬剤師
2005年、東邦大学薬学部衛生薬学科を卒業し、医薬品卸業の東邦薬品に入社。営業所での医薬品の管理、DI業務、MS教育に携わる。2009年、調剤薬局をチェーン展開するアシストに転職。あやめ薬局下志津店に薬剤師として勤務し2010年6月より同店管理薬剤師補佐、2012年8月にあやめ薬局西の原店に異動して薬局長となる。2015年9月より千葉エリアサブマネジャーを兼任。

―いつごろ、どのようなきっかけで薬剤師を目指そうと思ったんですか?

薬剤師という職業をなんとなく意識するようになったのは小学生のときです。「お薬を飲んだらどうして症状がやわらぐんだろう」と興味を持ちはじめ、理科が好きだったので自分もがんばれば薬剤師になれるかな、と思ったんです。薬剤師を目指そうと決めたのは、大学進学を考えるようになってから。中学、高校になってもずっと理科が好きでしたし、資格を取れる理系の学部のなかでこどものころから関心を持っていた薬学の道に進むことにしました。

―就職先に医薬品卸会社を選ばれた理由は?

就職活動をしているうちに、医薬品の情報を取り扱う学術職に興味を持ったことが最大の理由です。薬剤師として患者さんと接している自分がどうしても想像できなかったこともあって、募集要項に学術職と記載のある会社を選んで応募しました。メーカーではなく卸会社を選んだのは、いろんなメーカーの医薬品を扱う卸会社のほうが幅広い情報に触れられると思ったから。メーカーの学術職は自社の製品だけを扱いますが卸には各メーカーから情報が集まってきます。卸の営業所では管理薬剤師として医薬品の管理やDI業務、MS教育に携わったのですがメーカーとユーザーをつなぐ役割としてやりがいが感じられる仕事でした。

―扱う医薬品の種類が多いということは、覚えなければいけないことも多かったのでしょうか。

製品の情報を覚えることではなく、製品の情報を迅速かつ適格に調べることが重要でした。薬局やクリニック、MSからの問い合わせに答えるDI業務では、確実な情報をお伝えするため知っている内容であってもその都度調べて返答するんです。製品の内容や法律などが変わっていることもありますし、記憶ちがい、うっかりミスの可能性もありますから、それを防ぐために必ず調べる。どこを調べればいいかを覚えておけばいいのですが、入社したばかりのころはそれでも情報量が多くてたいへんでした。

―MS教育はどのようにおこなっていたのですか?

本部で用意したテキストをもとにした講習会を、各営業所で月に1回開催していました。内容は、新薬や疾患について、法律関連など季節や法改正のタイミングでさまざまで、毎回テキストの内容を咀嚼して準備をして30~40分の講習でお伝えしていました。わたしのいた営業所には15人前後のMSが所属していて、「わかりやすかった」とか「勉強になった」とか言ってもらえるとうれしかったですね。

―卸会社に4年勤務したのち、調剤薬局に転職されましたね。

学術職として医療関係者にお薬の情報をお伝えしているうちに、お薬がどのようにエンドユーザーに渡っていくのか興味が湧いて「患者さんと接してみたい」と思うようになったんです。卸で医療用の医薬品を扱っていたので、ドラッグストアよりも知識を活かせるだろうと思い、調剤薬局に転職することにしました。

―数ある調剤薬局のなかからアシストを選んだのはなぜですか?

店舗ごとに特色のある調剤薬局チェーンは、異動があれば同じ会社にいながら薬剤師としていろいろな経験を積めるのではないかと思ったからです。入社して最初に配属されたあやめ薬局下志津店は大学病院の門前で、1日に約350枚の処方箋を応需していました。いま在籍しているあやめ薬局西の原店は内科クリニックの処方箋が多く、1日80枚程度です。処方箋の枚数も、内容も、いらっしゃる患者さんもちがうので、非常に勉強になりました。

―患者さんに対応する難しさを感じることはありましたか?

卸時代に問い合わせを受けたときも最終的に患者さんに伝わることを想像しながら対応してはいましたが、やはり主眼は医療従事者に正しく情報を伝えることでした。薬局では自分のことばで直接患者さんにお伝えするので、情報の正確さに加えて、わかりやすさ、そして患者さんに納得してもらえることが大切です。説明の仕方ひとつできちんと飲めるかどうかも変わってしまう点は、難しいと感じることもありました。ことばを選び、話すスピードや表情まで含めて患者さんとコミュニケーションを取るように心がけています。

―卸での経験は役に立っていますか?

MS向けの講習会で講師をしたことは、患者さんにわかりやすくお伝えする助けになっていますね。それから、法規にもずっと携わってきたので、保健所の立ち入り検査などにも自信を持って対応できます。逆に、薬局で現場経験を積んだ薬剤師が卸にいっても、DI業務の役に立つのではないかと思います。

―2012年には薬局長になられました。業務の内容もより幅広くなったと思いますが、いちばん大きく変わった点は?

薬剤師や薬局長補佐のときはなにか問題にぶつかったときには薬局長に相談すればよかったのですが、薬局長は自分の判断で対処することが求められます。もちろん独断で進めるのではなく、エリアマネージャーや薬局のスタッフにも意見をもらいながら決めていきます。システムを改善して業務の効率化を図るのも薬局長の仕事のひとつです。入力用のパソコンが1台しかないために待ち時間が長くなっていたのでもう1台導入して作業が滞らないようにしたり、スタッフと相談しながらPOPをつくって患者さんの目線が行きやすいところに掲示したり……。仕事がしやすくなったうえ患者さんにも喜んでいただけたので自信につながりました。

―2015年9月からは千葉エリアのサブマネージャーも兼務されています。どのような仕事をなさっているのでしょうか。

千葉エリア内の薬局9店舗の業務の調整と統制に、エリアマネージャーの補佐というかたちで携わっています。エリアマネージャーは日ごろから各店舗をまわっていますが、わたしは西の原店の薬局長でもあるので基本的には店舗にいて、相談がある場合などは業務後に他店舗に行って話をしています。現在は、複数の店舗で勤務するスタッフが仕事をしやすくなるよう、業務の統一化が図れないか考えているところです。たとえば、問診票の基本的なフォーマットを作成したり、薬歴の入力作業の基本的なフローを統一したりするのも有効かなと思っています。一方では同じやり方では効率が悪くなる場合には店舗独自の方法を採用するなど、柔軟に対応することも重要です。店舗の特徴を考慮しながら、店舗と一体になってよりよい運営方法を考えていくように心がけています。

―現場の薬剤師から管理職へのキャリアチェンジは、転職時から希望されていたのですか?

転職したばかりのころは調剤薬局の薬剤師として独り立ちすることに精いっぱいで、とくに管理職を目指したいという気持ちもありませんでした。しかし、若手が意欲的にがんばっていて、エリアマネージャーも現場のことをしっかり見ながら現場の意見を採り入れてくれる会社だとわかるようになるにつれて、自分も経験を積んでこの会社をよりよくしていきたいと思うようになったんです。サブマネージャーのお話をいただいたときには「自分に務まるだろうか」と不安も感じましたが、部長やマネージャーに「一緒にやっていこう」と前向きに背中を押してくださいました。

―今後の目標をお聞かせください。

薬局を運営していくうえでは、「たのしい」と思える職場づくりをしていきたいですね。そのために、感情に流されず、誰とでも公平に接するように心がけています。なにか伝えなければいけないことがあれば、ほぼ同じタイミングで必ず全員に声をかけていますし、感謝の気持ちも小まめに伝えています。スタッフから相談を受けたときには、しっかり話を聞いて、客観的にアドバイスをするようにしています。スタッフ自身が幸せを感じられなければ患者さんも幸せにできないと思うので、まずは各店舗のスタッフのみなさんに幸せになってほしいんです。また、ここ数年で店舗が増えたので、サブマネージャーとなった現在は、患者さんがアシストグループのどの店舗に行っても同じクォリティのサービスを受けられるような体制をつくることも目標のひとつになりました。

旅行が趣味で、長期の休みには必ずどこかへ出かけています。自然の豊かな土地に行くとリフレッシュできるし、日常に感謝する気持ちが生まれてくるんです。転職のタイミングでは、3か月かけて船で世界一周旅行もしました。さまざまな文化に触れ、驚きも発見も多い旅でした。あの旅を経験したことで、物事を大きくとらえられるようになったし、辛いことがあってもすてきな未来につながっていると思えるようになりました。

知っトク!おトク!豆知識

健康・医療分野におけるITC化 国民がメリットを感じられる今後の方向性とは
現在、医療情報のITC化は主官庁である厚労省と総務省で進められています。病院や薬局、そして介護も含む地域医療連携の全体をネットワーク化し、個人の健康・医療・介護分野の情報をパーソナルヘルスレコードとして本人が一元管理・活用できるようにします。ITC化された情報をスマホアプリで見ることができれば、利用者はどんな診断や投薬をされているかがわかります。また、本人自らが情報を持ち運ぶことにより、引っ越しなど地域を超えての活用や、複数診療科での活用、介護分野の多職種連携チームでの活用が可能となります。

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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