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薬剤師インタビュー

2016年4月25日

森田博美さん
渋谷DSクリニック
漢方薬剤師
2013年、昭和大学薬学部を卒業し、調剤部門を持つチェーンドラッグストアに就職。小児科クリニック門前の調剤薬局に勤務する。その後、美容を専門とする渋谷DSクリニックに転職し、漢方薬剤師としてカウンセリングや漢方薬処方に携わる。2014年、Kaon漢方アカデミー認定 漢方アドバイザー取得。現在は漢方薬剤師としてクリニックに勤務する傍ら、コラムの執筆などもおこなっている。

―薬剤師を目指したきっかけを教えてください。

母にすすめられたことが大きかったですね。わたし自身は高校で進路を考えはじめたときは保育士になりたいと思っていたんです。人と接するのが好きで、小学生のときにアメリカのボストンで3年間暮らした経験があったので英語力を活かせるCAもいいなとも考えていました。ところが、わたしの実家は、父が医師、母が元看護師ということもあって、医療の道をすすめられた。母には「医療の道からでも、CAにはなれる。保育の資格も大学を卒業してからでも取れる。保育士になるにしてもCAになるにしても、医療の知識は役に立つ」と言われて、なるほどと思いました。わたしは血を見ることが苦手なので、医師や看護師には向かないと思って薬学部を選んだんです。

―大学卒業後はチェーンドラッグの薬剤部門に就職なさいましたね。

じつは、卒業後の進路はけっこう悩んだんです。選択肢は3つあって、ひとつは留学、ひとつは化粧品メーカー、そして調剤でした。大学6年のときに交換留学でUCLAに行き、2か月間の病院実習を経験したんですが、アメリカでは薬剤師の地位が高くて医師が薬剤師にお薬の相談をすることも多かったんです。薬剤師という職業の可能性が広い海外で、もっと勉強してみたいと思うようになりました。化粧品メーカーは興味はあったものの、研究をするにしてもオフィスで働くにしても薬剤師の資格を活かせそうになかった。いろいろ考えた結果、せっかく6年間勉強したのでまずは薬剤師として実務を経験してからその先のキャリアを決めようと思ってチェーンドラッグの調剤部門に就職したんです。

―調剤薬局で経験を積んだのち転職されています。渋谷DSクリニックを選んだ理由は?

調剤薬局は小児科の門前で、患者さんの症状も風邪かぜんそくがほとんどでしたから処方されるお薬もほとんど変わらなかったんです。受けた処方箋に対応するという受け身の姿勢ではなく、薬剤師としての知識を活かしたカウンセリングで処方内容を決められる仕事がしたいと思い、転職を考えるようになりました。もともと美容と健康に興味を持っていたので、DSクリニックの求人を見つけたときは「薬剤師免許を使って美容と健康に携われる理想的な職場だ」と思ってすぐに応募しました。

―現在の仕事内容を教えてください。

漢方アドバイザーとして患者さんの症状に合わせた漢方薬をご提案しています。弊院では漢方のエキス剤と生薬を計100種類ほど揃えていて、カウンセリングをしながら組み合わせる種類や量を決めていきます。理論上10万通り以上ある組み合わせから患者さんお一人おひとりに合わせてオリジナル漢方を処方するほか、燃焼効果を高めるクリニックオリジナルの「ダイエットMIX」をベースにした漢方をおすすめすることもあります。

―漢方についてはどのように学ばれたのですか?

大学ではほとんど漢方についての講義がありませんでしたし、調剤薬局でも漢方に触れる機会はなかったので、DSクリニックに転職が決まってから本を読んだりセミナーに通ったりして勉強しました。漢方は「40年やって一人前」ともいわれるほど奥が深いもので難しさを感じることもありますが、西洋医学のように症状を診て医師が処方するのではなくて患者さんの体質や生活習慣などから薬剤師が処方を決められる点はおもしろいですね。また、弊院の患者さんはダイエットや肌の悩みなどを持っていらっしゃる方が多く、体重が落ちていったり肌がきれいになっていく経過を見られるのもやりがいが感じられるポイントです。

―漢方薬・生薬認定薬剤師の資格取得も考えていらっしゃるのでしょうか。

あまり考えていません。漢方の薬剤師として極めていくというよりも、漢方を含めた幅広い知識を身に着けて美容と健康の分野の薬剤師としてトップを目指していきたいと思っています。何千年もの歴史がある漢方は文献も豊富ですが、1000年前と現代とでは食事も生活スタイルもまるっきり変わっているわけですから、処方がまったく同じでいいはずがありません。文献を参考にしながらより現代に合うものに組み替えていく必要があるとも感じています。セミナーに参加したり、漢方にまつわるブログを読んだり、また実地での検証を重ねたりしながら、美容の漢方をブラッシュアップしていきたいですね。

―渋谷DSクリニックの患者さんは、どのような方が多いですか?

お金をかけても痩せたい、肌をきれいにしたいという意識を持っていて、仕事も家事も育児も趣味もすべてに全力で取り組んでいる方です。ものすごく忙しくて、生活サイクルが乱れたりストレスが溜まったりして、ホルモンや自律神経のバランスが崩れているケースが多い。美しくなるためには健康であることが絶対条件です。基礎代謝をあげて「やせ体質」にする、胃腸のはたらきをよくして老廃物や毒素の排泄を促し、腸からの栄養の吸収をスムーズにするなど、根本から改善して維持していかなければいけません。

―森田さんはウェブマガジンの美容コラムやブログなどで執筆活動もおこなっていますね。

いずれは独立したいと考えているんですが、現在ナンタケットバスケットの教室や材料の輸入販売などをおこなう会社を経営している母に「独立したいなら、媒体を持つことが大事」とアドバイスされたんです。経営者の友人との会話でもビジネス系のセミナーでもいまの時代のブランディングにはインターネットでの発信が欠かせないと実感していたので、InstagramやFacebookを活用しながら、半年前にWordPressを使ったブログをスタート。ウェブマガジンなどでもコラムを執筆させていただいています。

―コラムやブログに反響はありますか?

感想を寄せていただいたり、執筆依頼をいただいたり、さまざまな反響があります。薬剤師の方から「どうやったら美容系の仕事ができますか?」とお問い合わせをいただいたこともあります。薬剤師というと白衣を着ていて堅いイメージを持たれることが多いですが、わたし自身は華やかにキラキラしていたいし、どんなときでも楽しんでいたいので、仕事のこともプライベートのことも「こんなことをやっています」と発信することで親近感を持っていただけたらいいなと思っています。
ちょっと大げさかもしれませんが、女性薬剤師のひとつのロールモデルになれたらうれしいですね。

―どのような形での独立を考えていらっしゃるのでしょうか。

いまはまだ基礎を固めている段階なので、やりたいことも少しずつ変わっていっています。「これ」と決めてしまわず、声をかけていただいたことを拒まずにやっていきたいと思っています。薬学部では周りの友人たちも医療の知識を持っていましたが、世の中全体を見渡すとそれが当たり前のことではないと気づきました。薬学の知識を活かしながら美容と健康に携わっていくことが目標なので、セミナー講師でも、コラムの執筆でも、漢方薬局でも、そのときどきでベストな手法を選んで活動していきたいですね。また、薬剤師というベースがあれば薬剤を卸してもらえるので、ビジネスの幅も広げられるのではないかと考えています。

―小学校時代にアメリカで暮らした経験は、いまの仕事に活きていますか?

日本は国民の98%を日本人が占めていますが、アメリカは多民族国家です。アングロ・サクソン系の人もいれば、中東、インド、アフリカの人もいる。それぞれに文化もことばもちがう人たちと交流することで、視野も価値観も広がりました。語学の面でもアドバンテージを感じています。わたしの目標は美容と健康を広げていくことなので、漢方にこだわらず西洋のハーブやサプリメントもどんどん取り入れていきたいと思っているんですが、英語の文献やサイトにアクセスすることで、得られる情報の量が何百倍にもなるし最新の情報もタイムラグなく手に入れられます。

―最後に、今後のビジョンをお聞かせください。

漢方、アロマ、お茶、サプリメント、食事や運動などトータルで美容と健康に貢献できる薬剤師を目指しています。漢方もハーブもサプリメントも、もっともっと知識を深めて、将来的にはカウンセリングに活用していきたいですね。

1年ほど前からキックボクシングをやっています。その前はヨガに通っていたんですが、こどものころからテニスやチアリーディングなど体育会系のスポーツをやってきたので、身体にそれなりの負荷をかけないと逆にリラックスできないんです。試合をすることが目的ではないため、ジムでのプログラムはミット撃ちが中心。チアの経験があるおかげで脚は上がりますしバランス感覚も鍛えられているので、キックボクシングはちょうどいいストレス発散になっています。健康を維持するためにもある程度の筋肉は必要です。これからも楽しみながら続けていきたいですね。

知っトク!おトク!豆知識

健康・医療分野におけるITC化 国民がメリットを感じられる今後の方向性とは
現在、医療情報のITC化は主官庁である厚労省と総務省で進められています。病院や薬局、そして介護も含む地域医療連携の全体をネットワーク化し、個人の健康・医療・介護分野の情報をパーソナルヘルスレコードとして本人が一元管理・活用できるようにします。ITC化された情報をスマホアプリで見ることができれば、利用者はどんな診断や投薬をされているかがわかります。また、本人自らが情報を持ち運ぶことにより、引っ越しなど地域を超えての活用や、複数診療科での活用、介護分野の多職種連携チームでの活用が可能となります。

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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