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薬剤師インタビュー

2016年5月25日

渡部幸作さん
ライフエンタープライズ株式会社
ハーブランド薬局本店 副店長
2006年、東京理科大学薬学部製薬学科を卒業。大手ドラッグチェーンのマツモトキヨシに入社し、ドラッグストア店舗に約5年、調剤部門に約3年勤務する。2014年12月、日本調剤に転職。本部スタッフとして人事部で薬剤師の新卒採用を担当。2015年10月、千葉県内に調剤薬局を展開するライフエンタープライズに転職し、ハーブランド薬局本店に薬剤師として配属、2016年4月より副店長となる。

―薬剤師を目指した理由からお聞かせください。

高校3年で具体的に大学受験を考えるようになったときですね。化学や生物が好きだったので教師になろうかと思っていたんですが、薬学部はどうかとすすめられ、少子高齢化社会では医療は必要とされるし将来性もあると考えたので薬剤師の道を選びました。入学したばかりのころは「薬学部でも教員免許は取れる」なんて思っていたんですが、薬学の勉強で手いっぱいでけっきょく教職課程は取りませんでした。

―新卒での就職先に大手ドラッグチェーンを選んだのはなぜですか?

学生時代の友人たちは「ドラッグストアにはいつでも転職できる。まずは病院か調剤薬局でしっかり経験を積みたい」と言っていましたが、わたしはまったく逆の発想でした。若いうちにOTCやサプリメントにできるだけ触れておきたいと思ったんです。OTCやサプリメントは種類も多いし、新しい商品も出てきます。若くて体力があってどんどん吸収できるうちに知識を身に着けておけば、医療の現場でも役に立つと考えていました。いつごろ、どのようなかたちで転職しようというところまで決めてはいませんでしたが、漠然と「いつかはドラッグではないところに転職しよう」とは思っていましたね。

―ドラッグチェーンではどのような業務に携わっていたのですか?

ドラッグストアの店舗で、お客さまの対応や健康相談、品出しなどなんでもやりました。入社したころはまだ医薬分業が進んでいませんでしたので、調剤部門を希望するという発想もなかったですし、お客さまが頼ってきてくれることにやりがいも感じていました。経営面に触れられたのもいい経験です。売上目標を設定して、そのときどきに利益率の高いアイテムの販促をしたり、お客さまにとってメリットの大きなものをおすすめしたりしながら、スタッフみんなで数字を追って達成できたときの充実感は大きかったと思います。

―ドラッグ時代に調剤も経験なさいましたね。

入社してからの5年間で千葉県内のドラッグストア12店舗を経験し、そのあとドラッグストア併設の調剤薬局に異動になって3年間同じ薬局に勤めました。駅前の店舗で、内科、整形外科、眼科、精神科などさまざまなクリニックの処方箋を1日約120枚受けていました。土日も開局していたので勤務体系はシフトとドラッグを兼務する変形労働。調剤に携わるようになると、お薬の奥深さにおもしろみを感じるようになりました。

―どのような点にお薬の奥深さを感じたんですか?

医師によってお薬の使い方がぜんぜんちがうんです。たとえば、胃酸を抑えるお薬は内科では胃炎のときなどに処方しますが、耳鼻咽喉科では逆流性食道炎によるのどの痛みに対して処方するんです。なぜそのお薬が処方されたのか、カルテが見られないことをもどかしく感じることもありますが、患者さんとコミュニケーションを取りながらうまく聞き出して予測し、経験を積んでいくなかで、薬剤師としてスキルアップしていると実感できました。調剤や服薬指導だけでなく、患者さんの不安や疑問を解消するお手伝いも薬剤師の大事な仕事です。OTCやサプリメント、健康食品などの知識も役に立ちましたね。

―転職先の全国展開の調剤薬局チェーンでは、本部の仕事を経験されたそうですね。

調剤薬局で働きたいと思うようになったころ、元上司の紹介で日本調剤に転職することになり人事部で新卒採用を担当しました。学生の面接を通じて「どんなことを思って話しているんだろう」とか「本当に求めていることはなんだろう」と考えるようになり、人を見る力が養われたと思います。ただ、やはり自分自身が薬剤師として現場で働きたい、直接的にお役に立ちたいという気持ちが強かったので、再度の転職を決めました。

―転職先にライフエンタープライズを選んだ理由は?

転職先を決めるにあたっては、地元の千葉県内で地域に根差したチェーン展開をしていること、経営のサイクルとして外来と在宅の両方が両輪となってまわっていることを重視しました。患者さんの健康をトータルでサポートしていく姿勢がはっきりとしていた点もライフエンタープライズに決めた理由のひとつです。

―配属されたハーブランド薬局本店はどのような店舗ですか?

外来を中心に、居宅在宅を2件受けている調剤薬局です。立地が駅前ということもあって近隣に施設が少なく、施設在宅はやっていません。土日も開局していますし、営業時間が長いうえに昼休みに閉めることもないので、かなり忙しい店舗だと思います。1日の処方箋応需枚数は200~250枚。服薬補助剤やサプリメント、健康食品、スキンケア用品、入浴用のハーブ、健康茶など薬局専売品もいろいろと扱っているほか、検体測定もおこなっています。

―処方薬だけではない患者さんとのコミュニケーションが生まれるわけですね。

「患者さんの健康をトータルでサポートする」という方針のもと、多様な取り組みをしています。管理栄養士が常駐しているのも特徴です。「口内炎がなかなか治らない」とか「風邪をひきやすい」とかその日にお渡しするお薬以外の健康相談になることも多くて、「食べ物でなんとかならないかしら?」と訊かれる方もいらっしゃるんです。そういうときには「管理栄養士もいるので、相談してみますか?」と引き継いで、食べ物と健康の話をしてもらっています。そのほか、待ち時間が長いときにお薬ができたら電話でお呼び出しするサービスや24時間対応の電話相談サービスも喜んでいただいていますね。電話相談は、店の携帯電話を薬剤師が持ち帰り、薬局が閉まっている時間でも電話相談に対応するサービスで、深夜や明け方にけっこうかかってくるんですよ。

―電話での相談内容はどのようなものが多いですか?

「入眠剤を22時に飲んで寝たんだけど、3時に目が覚めて眠れない。追加で飲んでも大丈夫か」とか「飲んだかどうかわからなくなっちゃったけど、どうしたらいいか」とか。薬剤名や症状などを確認して、重複しても大丈夫なお薬であれば追加で飲むように、抗生物質など重複すると危険なお薬であれば次のタイミングまで待つようにお伝えします。お薬に関する患者さんの疑問や不安をいつでも即座に解消できることが、地域医療のなかで薬局が担っていかれる役割だと感じています。

―2016年4月から「かかりつけ薬剤師」制度がスタートしましたが、かかりつけ薬剤師制度を導入したことでなにか変化はありましたか?

業務の内容にはほとんど変化はありません。ただ、患者さんが困っていること、不安に思っていることを解消していくうえで、かかりつけ薬剤師の存在は頼りになると感じています。情報を一元化することで薬剤師は患者さんの全体的なことを把握できるようになりますから、処方の変更点はすぐにわかりますし体調の変化にも気づきやすい。投薬のスピードはあがりますし、服薬指導も正確にできるようになります。とくに強い不安を感じている患者さんや、複数の医療機関から処方箋をもらっていてお薬の管理ができなくなる可能性のある患者さんには、かかりつけ薬剤師のメリットは大きいのではないでしょうか。もちろん、患者さんがかかりつけ薬剤師が休みの日に来局されることもありますので、薬局内での申し送りや連携もしっかり取っています。

―渡部さんは、4月から副店長に抜擢されました。副店長として心がけていることをお聞かせください。

店長をサポートしながら薬局を運営していくのが副店長の役目。処方箋の応需枚数を増やすために、患者さんの顔、スタッフの顔をよく見て、なにを感じているのか読み取りながら待ち時間を短縮するようにしていかなくてはいけません。スタッフをまとめるという部分では、褒めたり感謝の気持ちを伝えたり、小まめに声かけをしています。忙しいときこそ「ありがとう」をちゃんと声に出して伝えることが大事。次のモチベーションにつながっていきます。あとは各人の得意分野を見極めることですね。話すのが上手な人もいれば、薬剤のチェックが正確で早い人もいるので、忙しいときには得意なことをやってもらうように指示を出して、薬局全体の効率化を図っています。

今後のビジョンを教えてください。

自分自身は、患者さんの不安を取り除きながらトータルで健康をサポートしていくことができる薬剤師を目指し、薬剤師として患者さんに選ばれる存在になりたいと思っています。副店長としては、若手スタッフの教育に力を入れていきたいですね。ドラッグストア時代から、「わたしを超えろ」というのがスタッフを育てるときのわたしのスタンス。対面でのコミュニケーションが必要な仕事なので教えられることにも限界がありますが、わたしが持っているものは出し惜しまずに教えるし責任は全部わたしが取るから、いろんなことにチャレンジしてほしい。わたしが教育したスタッフが自分で考えて行動できる薬剤師になって、患者さんから信頼してもらえるようになったら嬉しいですね。

高校時代に買ったグローブです。使ったあとに布で拭いたり紐を変えたりメンテナンスは必要ですが、このグローブ以外は使えないと思うほど手に馴染んでいるんですよ。小学校1年から高校3年までかなり本気で野球をやっていて、いまも草野球を続けています。みんなで力を合わせて戦う充実感は団体競技に共通するものですが、野球はサッカーとちがって7点差をひっくり返すような大逆転劇もあるところがほんとうにおもしろいですね。

知っトク!おトク!豆知識

健康・医療分野におけるITC化 国民がメリットを感じられる今後の方向性とは
現在、医療情報のITC化は主官庁である厚労省と総務省で進められています。病院や薬局、そして介護も含む地域医療連携の全体をネットワーク化し、個人の健康・医療・介護分野の情報をパーソナルヘルスレコードとして本人が一元管理・活用できるようにします。ITC化された情報をスマホアプリで見ることができれば、利用者はどんな診断や投薬をされているかがわかります。また、本人自らが情報を持ち運ぶことにより、引っ越しなど地域を超えての活用や、複数診療科での活用、介護分野の多職種連携チームでの活用が可能となります。

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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