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薬剤師インタビュー

2016年7月25日

下村英紀さん
中央薬局 日赤前店 副薬局長
中央薬局グループ 人事採用担当
薬剤師・研修認定薬剤師・スポーツファーマシスト
2008年、第一薬科大学薬学部薬学科を卒業し、北九州市立医療センターに入職。調剤、TDM、抗がん剤の調整などの業務に携わる。2010年、埼玉県北部から群馬県にかけて調剤薬局をチェーン展開する中央薬局グループに転職。中央薬局本店、たけかわ薬局で経験を積んだのち、2015年11月より日赤前店で副薬局長となる。現在は調剤と居宅在宅調剤の実務を担いながら、薬局長とともに店舗の運営をおこなっている。2013年、「研修認定薬剤師」と「スポーツファーマシスト」の認定を取得。

―大学卒業後、就職先に病院を選ばれたのはなぜですか?

自分が生まれた病院で働きたいという気持ちが強かったんです。帝王切開で生まれたと聞いていましたので、たくさんの方のお力に助けられた命だと感じていましたし、小児ぜんそくがひどかったときに診てくださっていた先生もまだ現役でいらっしゃいましたし、少しでもご恩返しができたらいいな、と。また、病院は薬剤師としてたくさんのことが学べるという面でも魅力を感じていました。TDMや抗がん剤の調整などは、病院薬剤師でなければ経験できなかったと思います。

―2年間の病院勤務の後、調剤薬局に転職されましたね。

薬剤師としてほかの現場も経験してみたくなったんです。学生のときの実習でも病院か薬局か選べたんですが病院を選択しましたし、職場も病院。薬局のことをまったく知らなかったので、病院で働きながら友人に紹介された調剤薬局の勉強会に参加しました。当時の病院ではまだ薬剤師が病棟に行くことが少なく、患者さんとの距離が近い薬局がとても魅力的に感じられました。

―中央薬局グループを選んだ理由は?

勉強会を通じて中央薬局グループの方と面識ができ、お話をうかがっているうちに「いい薬局だな」と感じるようになりました。大規模の調剤チェーンは大病院の門前が多いイメージだったのですが、中央薬局グループは個人クリニックとの連携をしっかり取りながら地域に根差した経営をおこなっている印象でした。ずっと九州で暮らしてきたので関東に住んでみるのもいいかなと思って、ほとんど迷わず決めましたね。

―どのようなポイントで調剤薬局と病院のちがいを感じましたか?

病院では患者さんと直接の関わることはほとんどなかったのですが、調剤薬局で直接患者さんの対応をするようになって感じたのは「薬局はサービス業なんだ」ということ。たとえば軟膏調剤ひとつとっても、病院時代はきちんと混合してあればいいと考えていたのが、調剤薬局に来てからは見た目もきれいに詰めたほうがいいと意識するようになりました。病院とちがってカルテが見られないことも大きいですね。状態を把握するために、患者さんの顔色や表情の変化、声色などにも注意を払うようになりました。

―調剤薬局に入局なさってからも、複数の店舗に勤務なさっています。店舗によるちがいはありますか?

最初の2店舗はクリニックの処方箋が中心だったので、風邪や胃腸炎、アレルギーなど同じような処方が多かったですし、慢性疾患の患者さんも処方が変わることはほとんどありませんでした。現在の日赤前店は埼玉県北部で唯一の救命救急センターがある深谷赤十字病院の門前で、急性期からの回復期という退院後の状態が変化しやすい時期に来られる患者さんの割合が高く、来局されるたびに処方内容が変更になっているケースも多いです。カルテの確認ができないので、患者さんから聞き出すように心がけていますが「病院の先生に話しているから大丈夫」とか「急いでいるので、とにかくお薬だけ出して」などと言われてしまうこともあります。患者さんとのコミュニケーションはいまも大きな課題のひとつで、お薬を薬袋に詰めている間に「ここだけはぜったいに確認しよう」というポイントを絞って訊いたり、検査予定があるのかをうかがったりして推測するようにしています。

―処方内容が多岐にわたるということは、扱う品目数も多いのではないですか?

日赤前店で扱っている医薬品は約1430種類。大規模病院の門前薬局のなかでも多いと思います。クリニック中心の店舗では500~600でしたし、病院経験があるとはいえ、異動してきたばかりのときははじめて扱うお薬のほうが多いぐらいでした。新薬はどんどん出てくるうえ、あまり出ないお薬には触れる機会がなかなかないので、勉強会には力を入れています。店舗での勉強会は月に3回、営業中に実施。薬剤師全員が揃う時間をつくるのはたいへんなので、薬剤師を2チームにわけ、同じ日に同じ内容の会を時間差で2度開催するスタイルです。そのほか全店舗と合同の勉強会が月に1回あるので、ほぼ毎週勉強会に出ていることになりますね。

―2016年4月に「かかりつけ薬剤師制度」がスタートしました。業務内容などになにか変化はありましたか?

当薬局では、制度が導入される前からひとりの患者さんを同じ薬剤師が対応するようにしていましたので、変化はほとんどありませんでした。きっちりした担当制ではないのですが、回復期の患者さんは処方の変更も多いので、カルテが見られないぶん同じ薬剤師が対応したほうが情報を引き出しやすいだろうということから取り組みをはじめたそうです。当局では正社員の薬剤師5名のうち3名がすでに取得していますし、合同の勉強会は研修認定薬剤師のグループ研修として単位申請ができますので、グループ全体としての認定取得率もあがってくると思います。

―下村さんは、研修認定薬剤師のほかスポーツファーマシストの認定もお持ちです。取得しようと思ったきっかけを教えてください。

もともと薬剤師を目指したきっかけがドーピング防止だったんです。高校時代、アイスホッケーをやっていて、国体にも3年連続で出場したんです。大会が近くなると体調を崩してお薬を飲むときにドーピングが心配になりますが、薬局で相談したら薬剤師さんがドーピング検査をクリアできるお薬を提案してくださって、「いつか自分も提案できる立場の人間になりたい」と思って薬剤師を目指しました。薬剤師になったばかりのころは、調剤や投薬など通常の業務でも覚えることが多くてアンチ・ドーピングにまで対応できませんでしたが、調剤薬局の仕事にも慣れてきたころにスポーツファーマシストの認定があることを知って取得しました。

―実際にスポーツファーマシストの資格が活かされたケースはありますか?

パラリンピックにも出場経験のあるスキー選手が国際大会に出場する際、持参薬の相談を受けました。持っていく予定のお薬をうかがって禁止薬物となるものがないかお調べしたところ、大会期間中に限って服用が認められていないお薬があったためお伝えしました。「安心して参加できる」と言っていただけたのが嬉しかったですね。今後は、中高生アスリートに、ドラッグストアなどでかんたんに手に入るOTCやドリンク剤についての知識を広めていきたいと思っています。現在、当局では薬局長が学校薬剤師として地域の学校と連携していますので、わたしもアンチ・ドーピングの分野から関わっていくつもりです。

―ほかに取得を考えている認定制度はありますか?

プライマリ・ケア認定薬剤師を取得したいと考えています。現在、2名の患者さんの居宅在宅調剤を担当しているのですが、お薬以外のことも相談されることがあります。先日、「夜間、困ったときに押すボタンが壊れてしまって、心配で眠れない」と悩んでいる患者さんがいらっしゃいました。薬剤師が対応するべき内容ではありませんので、すぐにケアマネジャーに対応してもらいました。わたしのことを信頼して打ち明けてくださる患者さんのお気持ちを真摯に受け止め、医師や看護師、ケアマネジャーにフィードバックしていくことはもちろん、地域の医療や健康により積極的に働きかけていくために、プライマリ・ケアの認定は役に立つと思います。

―患者さんの信頼を得られる薬剤師になるためには、どのようなことが必要だと思われますか?

人を好きになることだと思います。わたし自身、最初に勤めた病院の面接で薬剤部長に「君は人が好きか?」と訊かれました。「はい、好きです」と返答したら、「それなら大丈夫。薬剤師に向いているよ」と言われたんです。そのときは真意がよくわからなかったのですが、患者さんと接しているうちに少しずつわかるようになってきました。自分に興味を持っていない人の話よりも、自分に好意を持ってくれている人の話のほうが聞き入れやすい。わたしもいつも患者さんのことを好きになって話しているから、患者さんにいろんなことを話していただけるのかもしれません。

―最後に、今後の目標をお聞かせください。

昨年11月に副薬局長になったばかりで、いまは自分の責務を果たすことに精いっぱい。現状の目標は、薬局長に少しでも追いつくことです。薬局長は「医療はサービス業」という認識が強くて、大規模病院の門前でありながら、「目の前の病院だけではなく、ほかの病院からも来てもらえる薬局」を目指してさまざまな取り組みをしてきた方。その結果、処方箋の割合は、赤十字病院からが7割、そのほかが3割と、門前としてはめずらしくほかの医療機関からの応需が増えています。学校薬剤師として保護者からも信頼を寄せられていて、「ママ友から、ここの薬局がいいって聞いてきた」とおっしゃる方も少なくありません。わたしも、地域のみなさんから広く信頼してもらえる薬剤師になりたいと思っています。

最先端の掃除ロボットです。こどものころに小児ぜんそくを患っていたので、母がいつもていねいに掃除をしてくれていたし、わたしも手伝っていて。掃除はマメにやるのが当たり前という感覚が身についているせいもあって、掃除に関するものにはずっと興味を持っていました。昨年、こどもが生まれたことをきっかけに「アイロボット」の床拭きロボットを購入。市販のフローリング用ウェットシートが装着できるし、部屋の隅々まできれいに拭きあげてくれるので満足しています。

知っトク!おトク!豆知識

健康・医療分野におけるITC化 国民がメリットを感じられる今後の方向性とは
現在、医療情報のITC化は主官庁である厚労省と総務省で進められています。病院や薬局、そして介護も含む地域医療連携の全体をネットワーク化し、個人の健康・医療・介護分野の情報をパーソナルヘルスレコードとして本人が一元管理・活用できるようにします。ITC化された情報をスマホアプリで見ることができれば、利用者はどんな診断や投薬をされているかがわかります。また、本人自らが情報を持ち運ぶことにより、引っ越しなど地域を超えての活用や、複数診療科での活用、介護分野の多職種連携チームでの活用が可能となります。

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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