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受託研究、薬歴活用のあり方を調査‐患者主体の薬局業務転換へ
日本薬剤師会

2010年12月20日(月)

 2009年度日本薬剤師会受託研究「薬剤服用歴の解析に関する調査研究」最終報告書がまとまった。調査は、薬歴を活用した薬物療法の質向上、適切な情報管理のあり方などを探るために実施された。報告書では、薬局業務のあり方について、「投薬を主体とした業務ではなく、患者対応を主体として情報収集し、薬歴を活用した業務があるべき姿ではないか」と提案している。

薬の安全・適正使用に効果

 調査は、医薬品の安全かつ適正な使用に関わる薬剤服用歴を中心に、薬局における情報管理のあり方と活用に関する研究を目的に行われた。緊急安全性情報が出された医薬品について、薬剤師の服薬説明を調査した08年度の研究では、患者への情報提供は、なされていたものの、薬歴には情報提供内容や患者所見の記録がほとんど見られなかった。また、長期処方についても、記録内容からは、継続的な安全管理ができている状況が見出せなかった。

 そこで09年度の研究では、薬歴の有用性を、薬物療法における効果や安全性の管理面から示すことを目的として、[1]調剤手順に関する調査研究[2]薬剤服用歴の解析に関する調査研究[3]外来処方せんを対象とした処方日数に関する薬歴調査[4]米国ワシントン州における共同薬物治療管理に関する調査研究――を実施した。

 調剤手順については、薬剤師の服薬指導について、医師が問診やカルテの確認を通し、最終的に診断を下すのと同様に、「調剤決定」という行為があると仮定した。研究では、「調剤決定」という新たな概念を、患者情報の収集および薬歴やお薬手帳を確認し、それと同時に、服薬指導も行いながら調剤内容を決定することと定義した。

 その上で、「調剤決定」という新たな過程を取り入れた新手順を作成。これを3薬局を対象に実施した。なお新手順は、患者インタビュー時から、そのまま服薬指導を続けて行うというもので、服薬指導時に薬を調剤中であれば、実薬が手元にないまま服薬指導を行う形式となる。

 対象調剤数は、全体で710件。新手順について、対象調剤ごとに薬剤師に5段階で評価してもらったところ、「3」が最も多く487件(68・6%)を占めていたものの、「4」「5」合わせて187件(26・3%)と、4分の1が高評価をしていた。

 調査結果を踏まえて報告書では、「応需した処方せんについて、投薬業務を主体とした業務ではなく、患者対応業務を主体として情報収集し、薬歴を活用した業務があるべき姿ではないか」と提案している。その上で、患者インタビュー時においては、患者の薬識を把握しながら、服薬指導と情報提供を同時に実施した方が、情報収集の質、量、患者満足度のいずれも向上すると提案している。

添付文書の警告内容‐伝達方法に一層の工夫を

 薬歴の解析に関する調査では、添付文書に「警告」が記載されている、ハイリスク型医薬品の服薬指導において、副作用のリスクなどに関する薬歴記載を調査した。対象薬は、▽テルビナフィン塩酸塩▽ベンズブロマロン▽チクロピジン塩酸塩▽メトトレキサート▽グリメピリド▽タクロリムス水和物――の6品目。

 調査は計5薬局を対象とし、期間は03年4月以降、薬局ごとに異なる3~5年間。患者数総計74470人、処方せん枚数690262枚。重篤な副作用に関する薬歴記載は、総計1140件。

 調査結果では、ほとんどの医薬品について、重篤な副作用に関する説明が行われており、必要に応じて血液検査の説明や、長期処方の疑義照会も記載されていた。一方で、タクロリムス水和物のリンパ腫、皮膚癌の説明はいずれの薬局でも行われておらず、添付文書の警告に記載された注意が説明されていない例もあった。

 こうした結果から報告書では、現状の薬歴記述は、具体的な指導の記述に欠けており、添付文書の警告欄の記載内容を、どのように伝達するかについて、一層の努力が求められ、伝達した事実と、その内容を記録することが求められるとした。

 外来処方せんを対象とした処方日数に関する調査は、医薬品の有効性、安全性に関わる状況が把握しづらい、長期投与の実態を調査することを目的に実施されたもの。

 3薬局で3~4年間にわたり調査し、内服薬に関する処方せんは総計395135枚。14日以内の処方せんが77・2%だったのに対し、14日を超える長期処方せんは30・1%だった。中でも、半年を超える処方が多かったのは、甲状腺ホルモン剤、骨粗鬆症治療薬だった。

 長期処方の中では28日が13・5%、続いて30日6・1%、21日3・8%だった。長期処方は高齢者や生活習慣病患者に対する治療薬に多く、服薬状況の把握を行うことが重要であると示唆される結果だった。(薬事日報

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健康・医療分野におけるITC化 国民がメリットを感じられる今後の方向性とは
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今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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