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【OTCの話題】新販売制度施行から1年経過‐富士経済、主要15分野の市場を調査

2011年01月05日(水)

 2010年は、09年6月に改正薬事法が施行されてから1年が経過する年となった。10年は、インターネット販売などをめぐって、行政刷新会議で議論が続き、1~2月の厚生労働省の調査によると、3割強の店舗で陳列・販売方法の混乱などが続いた。また、6年制薬学教育への移行などから、薬剤師不足が10~11年にかけてピークに達するという事情もあり、実績の伸び悩むスイッチOTCの第1類薬が増加した。そのような中、富士経済では改正薬事法により変動する国内の一般薬の主要薬効15分野73品目の市場を調査し、実態を明らかにした。

多様化する各社の販売戦略

 第1類薬は政府によるスイッチ化推進を背景に、今後も市場活性化の切り札といわれている。10~11年は、陳列・販売方法変更の影響、さらには薬剤師不足がピークに達し、リスク別分類の販売戦略の模索が続いている。また、法改正を機にドラッグストアでも異業種の参入・連携を含めた業界再編と業態変化が進み、調剤併設型ドラッグストアチェーンは、第1類薬の専門性を強めていく方針を見せている。

 さらに、マツモトキヨシとローソンの提携のように、登録販売者主体で“ヘルスケア・コンビニ業態”を模索する動きも顕著となっている。富士経済では、「多様化する小売業界への対応強化もOTC薬メーカーの今後の課題」と指摘する。

 OTC薬の全体市場の10年見込は6247億円で、09年の6251億円から0・1%減と、ほぼ横ばいとの予測を示した。

 全体市場の近年の推移を見ると、07~08年にかけてはスイッチOTCの新製品や肥満防止剤、漢方関連製品の成長により回復した。しかし、09年は新型インフルエンザが流行して医療機関への受診が増加。感冒関連製品の需要が大幅に減少したほか、殺虫剤など季節商材が伸び悩んだこともあり、再び前年を下回った。

 また09年は、第1類薬の取り扱い店減少や取り扱い時間の縮小、店頭陳列方法の変更による影響から、大幅に実績を減少させる薬効品目もあった。特に販売実績が大きかった制酸薬や禁煙補助剤は、前年比で10%以上も減少した。スイッチ化して間もない口唇ヘルペス治療薬、しみ治療薬、エネルギー代謝薬などは認知を高める途上で、法改正の影響を受けたために縮小した。ただ、第1類薬の全体市場におけるウエイトは5%程度で、「ウエイト60%強の総合感冒薬や季節商材など、第2類薬の不振が全体市場に大きく影響した」と分析している。

期待されるスイッチ活性化

 改正薬事法では、OTC薬を第1~3類に分類し、第1類薬は薬剤師に取り扱いを限定し、第2類薬、第3類薬は登録販売者の取り扱いも可能としている。

 リスク分類別に市場を見ると、10年見込みでは、第1類薬が311億円、第2類薬が4012億円、第3類薬が1908億円とした。

 10年は法改正から1年以上が経過し、第1類薬に関しては、当初の混乱から緩やかに回復すると見込んだ。しかしながら、薬剤師不足の解消が、第1類薬の本格的な実績回復の鍵を握っていると指摘。「12年新卒薬剤師の確保がどれくらい進むかが注目される」とした。

 一方で、予想外の第1類薬販売の混乱が、第2類薬、第3類薬では、登録販売者を配置した店舗展開に特化する代替策を促進したとし、10年以降、12年までにその効果が判定され、ドラッグストアチェーンの店舗戦略にとっても重要な時期を迎えると分析。

 「11年5月期限のOTC薬の郵送・通信販売規制の経過措置が見直される見通しがなければ、販売戦略の見直しが不可欠になる」とした。

 リスク分類別の09年は、第1類薬が299億円、第2類薬が4003億円、第3類薬が1933億円だった。構成比は、第1類薬が約5%、第2類薬が約64%、第3類薬が約31%。

 特に第1類薬は、09年の法改正による販売方法の規制の影響から、実績を縮小する薬効群が目立った。そうした中で実績を伸ばした薬効として、▽育毛剤▽ 膣カンジダ治療薬▽頻尿・尿もれ改善薬――を挙げた。育毛剤に関しては、ミノキシジル5%配合の新製品「リアップX5」(大正製薬)が需要を獲得し、第1類薬市場の約16%にシェアを拡大した。膣カンジダ治療薬は「メディトリート」(大正製薬)の通年実績に追加販売のクリームタイプも寄与し、実績が増加した。

 スイッチOTC市場については、発展期に入っていたが、09年6月の法改正により、第1類薬の販売規制が強化されたことでマイナスに転じた。09年市場は前年比1・0%減の1474億円だった。

 10年については、▽法改正の混乱が落ち着きを見せる▽育毛剤の「リアップX5」の続伸が見込まれる▽ロキソプロフェンナトリウム水和物を成分とする鎮痛消炎剤の発売が計画されている――などを要因に挙げ、「再び拡大へ向かう」と指摘。09年比2・4%増の1510億円と見込んだ。

 さらに、今後、新規薬効として高脂血症・閉塞性動脈硬化治療剤「エパデール」のスイッチOTCが大正製薬や日水製薬から発売されると見込まれ、市場の活性化が期待されると評価した。その一方で、10年、11年は薬学部6年制への移行による薬剤師不足から、スイッチOTCの販売が滞る懸念も示した。

花粉症対策は一定の規模に

 注目される市場としては、▽花粉症対策製品▽腸内環境訴求製品▽生活改善薬――を挙げた。

 花粉症対策市場の10年見込みは469億円で、09年比20・9%の減少。09年春は、花粉飛散の開始が早まったことや、飛散量の多さから、第2類薬を中心に多くの製品が好調だった。さらに、花粉症対策で、着用する消費者が増加した家庭用マスクでは、新型インフルエンザが流行したために予防意識が高まり特需が生じ、市場は前年比30%以上の大幅な拡大を見せ、593億円に達した。しかし、10年に関しては、春の花粉飛散量が少なかったことや、家庭用マスクの流通在庫が蓄積していることを受け、市場は大幅に縮小すると見込んだ。

 今後については、アレルギー患者が増え続けるとの見方も強く、花粉飛散量・期間に大きく影響を受けながらも、市場は拡大していくと予想。家庭用マスクによる予防も定着したため、一層位置づけが高まると共に、その他の製品でも花粉の侵入を防ぐ製品の多様化が進むと分析した。

 腸内環境訴求製品市場に関しては、便秘薬が植物性便秘薬との競合もあり、価格訴求圧力が強まって伸びを欠いた推移が続いたとしながらも、エスエス製薬が「スルーラックデトファイバー」の拡販に努め、興和新薬やゼリア新薬工業が、店頭販促の強化を図ったことで便秘薬市場は拡大したと評価。10年も続伸すると見込んだ。

 整腸薬については、医薬部外品が牽引して拡大を続けていると指摘。09年に興和新薬が大手ドラッグストアチェーンでキャンペーンを実施するなど、流通対策の強化を市場拡大に寄与した要因として挙げた。止瀉薬は、携帯性訴求による市場活性化の動きが一巡して、09年も縮小が続いているとした。

 腸内環境訴求製品でシェアトップの「新ビオフェルミンS」(武田薬品)は、医薬部外品として薬系チャネル中心の展開を行っているとし、今後も薬系チャネルを重視する姿勢を採るが、新たにCVSなど、非薬系チャネルも認知度向上の点から有効と捉えて、試験段階にあることを紹介した。

 一方、腸内環境訴求製品市場は、便秘薬の自然派タイプ、整腸薬の大腸訴求による需要開拓が一巡しているとし、消化器官用薬カテゴリー内での競合、景気低迷などの要因もあって、市場が増加し続けることは難しいとの見込みを示した。10年見込みは、09年比0・9%増の338億円とした。

 生活改善薬市場を見ると、07年は催眠鎮静剤の新製品投入、08年は禁煙補助のパッチ剤や頻尿・尿もれ改善薬のスイッチOTCの登場により市場は大幅に拡大。しかし09年は、前年発売の第1類薬が発売初年の反動に加え、改正薬事法の販売法規制で実績を落とし、市場全体も前年を割り込んだと分析した。

 10年については、上位企業による頻尿・尿もれ改善薬の女性・中高年男性に的を絞った新製品の拡販展開や、タバコ増税による禁煙補助剤需要の拡大が期待されるとし、市場の回復を見込んだ。(薬事日報

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知っトク!おトク!豆知識

健康・医療分野におけるITC化 国民がメリットを感じられる今後の方向性とは
現在、医療情報のITC化は主官庁である厚労省と総務省で進められています。病院や薬局、そして介護も含む地域医療連携の全体をネットワーク化し、個人の健康・医療・介護分野の情報をパーソナルヘルスレコードとして本人が一元管理・活用できるようにします。ITC化された情報をスマホアプリで見ることができれば、利用者はどんな診断や投薬をされているかがわかります。また、本人自らが情報を持ち運ぶことにより、引っ越しなど地域を超えての活用や、複数診療科での活用、介護分野の多職種連携チームでの活用が可能となります。

今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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