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特集コラム

薬局ヒヤリ・ハットを考察する

「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」のこれまでを考察する

2010年11月25日
■事業スタートの背景とは 薬局は医療機関の横にならぶ施設

日本医療機能評価機構により厚生労働省の補助事業として、2009年4月から全国の薬局を対象にスタートした薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業。
スタートから一年以上を経過し、初の年報も公表されたため事業を振り返ってみた。
まず、この事業ができるまでのことをおさらいしよう。
1992年、医療法において薬剤師が医療の担い手として明記され、2006年の医療法改正で薬局も医療提供施設として位置づけられた。
意外なことに薬剤師の立ち居地がハッキリしたのは近年で、これで名実ともに医療における役割が明確となったわけだ。
これまでの同機構によるヒヤリ・ハット事業は、医療機関が対象だった。
事例のうち約30%が薬剤に関するものであり、医薬分業率が約60%に達している今、「薬局でも相当あるな」と必要性が指摘された。
それ以外にも、薬局でなければ得られない情報がある。
複数の医療機関の受診による重複投与、OTC薬や薬局製剤などの販売、先発品から後発品への変更、処方医と薬局薬剤師の情報非共有などだ。
こういった背景の中で、薬局におけるヒヤリ・ハット事業がスタートした。


■1件の大きな事故の裏には、300件のヒヤリ・ハットが潜む

薬局ヒヤリ・ハット事業をスタートするにあたり、同機構は全国の薬局53,304軒のうち、約20%の10,000軒が参加をしてくれれば正確なデータが取れ、これが5,000軒未満では厳しいと判断。
統計データの信頼性からも10,000軒を目標に定めた。
参加薬局は、2009年5月末で411軒、報告されたヒヤリ・ハット事例は数十件にとどまり、第1回報告書時の2009年6月末には906軒、報告事例は175件。
そして、第2回報告書時の2009年12月末での参加薬局数は、第1回報告書から約倍増の1,774軒となり、報告事例は1,285件と飛躍的に増加した。
しかし、依然として目標の約20%(10,000軒)にはほど遠く、全薬局数の3.3%にとどまる低水準、まことに残念である。
そして、2010年10月5日に初めて「平成21年 年報」が公表された。
最終的な2009年の参加薬局数は1,774軒、報告事例は1460件。
事例の概要を見ると、「調剤」に関する割合が全体の92.0%(1,343件)を占め、「疑義照会」7.3%(107件)、「特定保健医療材料」0.7%(10件)、「医薬品の販売」の事例はなかった。
最も多い「調剤」の内訳は、「数量間違い」が1位で43.9%(590件)。
つづいて「規格・剤形間違い」16.1%(216件)、「薬剤取違え」13.5%(181件)、「調剤忘れ」7.6%(102件)の順番だ。
現在、公表されている最新の報告は、第3回集計報告である。
2010年1月~6月末までの参加薬局数は2,841軒、報告事例4,989件、やっと全薬局数の5.3%、目標の30%弱である。


■事業目的は事故の芽を摘むもの 医療安全をめざして参加を

まずはじめに、この事業が伸び悩む背景の一つに「事例を報告している薬局は、事故やミスが多いと思われるのでは」や「事例を報告すると罰せられるのではないか」など誤解もあるようだ。
収集・分析をおこなっている日本医療機能評価機構は、医療への信頼確保と医療の質向上を図るために設立された中立的な第三者機関であり、ペナルティーをあたえる行政機関ではない。
病院機能評価事業をはじめ、医療安全に関する事業をおこなっている機関だ。
報告された事例は、報告者の薬局名や氏名と関連づけて公表されることは一切なく、安心して参加してほしい。
事業に参加するメリットとしてなにより大きいのは、自施設がおこなっていることを見直すよい機会になることだ。
具体的一例としては、集計報告にまとめられた全国的傾向と、自施設の傾向を比較することができるし、共有すべき事例を活用すれば自施設でのミス防止の環境整備もできるだろう。
そして対外的には情報公開に積極的な信頼できる薬局という評価も得られ、より一層のスタッフの安全意識向上にもつながる。
同機構がかかげる参加目標10,000軒をクリアすれば、薬品名称や包装などの改善に役立て、医療界全体での安全を高める一助につながるかもしれない。
ぜひ、大手チェーンから個人薬局まで多くの参加をお願いしたい。

※財団法人日本医療機能評価機構 薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業


名称類似による薬剤取違え

実際に薬局で発生したヒヤリ・ハット事例のうち、「薬剤取違え」と報告された事例が181件報告されています。(集計期間:2009年4月1日~2009年12月31日)
このうち、分析対象とした171件について、販売名の頭文字が2文字以上一致している事例が41件報告されています。名称類似として報告された主な医薬品名及びその主たる薬効は表の通りです。

【主な医薬品名】

※出典:薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業「平成21年 年報」P39-40

疑義照会における変更内容と疑義があると判断した理由

実際に薬局で発生したヒヤリ・ハット事例のうち、事例の概要が「疑義照会」であった事例は107件報告されています。(集計期間:2009年4月1日~2009年12月31日)
上記事例について、疑義照会後に行った「変更内容」を縦軸、「疑義があると判断した理由」を横軸として集計した表は下記の通りです。また、報告された事例のうち、「疑義があると判断した理由」の各項目において、多く報告された変更内容については、赤色で表示しています。

※出典:薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業「平成21年 年報」P53

事例の概要

薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業
平成21年年報と第3回集計報告の合計

【1】調剤に関する項目

【2】事例の概要×発生要因(調剤)
注:「発生要因」は複数回答が可能である。

薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 報告より

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今月号の目次
今日はなんの日?
  • 2016年9月9日
  • 救急の日
  • 厚生労働省が1982年に「9(きゅう)9(きゅう)」の語呂合わせから制定。救急医療関係者の意識向上と、国民の正しい理解を深めることが目的である。
  • 2016年9月9日
  • 骨盤臓器脱 克服の日
  • 尿失禁・骨盤臓器脱で悩む女性ゼロをめざすひまわり会により制定される。骨盤臓器脱の英語表記は「POP」と略され、逆転すると「909」と読めるため。
  • 2016年9月22日
  • フィットネスの日
  • 日本フィットネス協会の設立記念日であり、9月は厚労省が実施する「健康増進普及月間」でもあるため制定される。国民の健康体力づくり推進が目的である。
  • 2016年9月24日
  • 歯科技工士記念日
  • 1955年設立の日本歯科技工士会により、2005年9月に50周年を記念して制定されたふたつの記念日のひとつ。もうひとつは10月8日の「入れ歯感謝デー」。

薬剤師の地域別時給[東日本]
地 域 東京23区 東京都下 神奈川県 埼玉県 千葉県 茨城県 群馬県 栃木県 静岡県 山梨県
平均値 ¥2,302 ¥2,203 ¥2,126 ¥2,229 ¥2,400 ¥2,508 ¥2,309 ¥2,255 ¥2,051 -
薬剤師の地域別時給[西日本]
地 域 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 岡山県 愛媛県 福岡県
平均値 ¥2,249 ¥2,111 ¥2,114 ¥2,020 ¥2,111 ¥2,145 ¥1,960 ¥2,771 ¥1,913
(2015年2月~2016年1月)
AiDEM 株式会社アイデム 人と仕事研究所調べ

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